少年フードファイターの苦悩
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第一章
少年フードファイターの苦悩
鈴木允康は小学六年生であるがフードファイターでもある、大会に出ても大人達に負けない位食べている。
一六〇ありあどけない顔立ちで黒髪は短い、その彼の学校生活はというと。
「いつも思うけどな」
「鈴木って給食の量は普通だな」
「けれど家からいつも重箱三段持って来て」
「それも食うな」
「いや、給食を食べたら」
鈴木は自分の分を食べつつクラスメイト達に答えた。
「僕の場合皆の分もってなるからさ」
「わざわざ弁当持って来てか」
「それで食うんだな」
「家からそうして」
「そうなんだ、食べないとね」
さもないと、というのだ。
「フードファイターは駄目だよね」
「それはな」
「食うのが仕事だしな」
「ウードファイターってな」
「やっぱりな」
「けれど皆の分まで食べたら駄目だって」
その様にというのだ。
「お父さんお母さんから言われてるし」
「だからか」
「給食は普通か」
「それでその分の弁当持って来てか」
「それで食ってるんだな」
「そうだよ」
その通りだというのだ。
「僕もね」
「成程な」
「そういうことちゃんとしてるんだな」
「お前も」
「そうなんだな」
「うん、それで食べてるんだ」
こう言って給食の三段の重箱を空けるのだった、それも毎日。
そして家から帰るとだ。
「おい、今日もか」
「今日も走るのか」
「それも何キロも」
「サーキットもしてか」
「身体も動かさないとね」
日課の弩レーニングをしつつ通りがかったクラスメイト達に答えた。
「食べてばかりだと太るし」
「身体に悪いか」
「だからか」
「走ったりもするんだな」
「運動もするんだな」
「身体壊したら食べられなくなるしね」
健康に支障をきたすと、というのだ。
「だからね」
「それでか」
「ちゃんと身体動かして」
「それでか」
「そのうえでまた食うか」
「そうなんだ、それに身体動かしたらお腹空いて」
そうなってというのだ。
「余計食べられるしね」
「だから毎日走ってか」
「サーキットもするんだな」
「野球やサッカーしてる奴以上に」
「そうしてるんだな」
「そうなんだ」
こう言ってからまた走る、そして。
夕食ではだった、両親にこう言われていた。
「しっかり食えよ」
「お腹一杯ね」
「そうして胃を大きくするんだ」
「いいわね」
「うん、わかってるよ」
両親に応えつつ食べる。
「今日もね」
「フードファイターだからな」
「食べることが大事だから」
「食事自体が仕事だ」
「いつも沢山食べてよ」
「何時でも食べられる様になるんだ」
「毎日ね」
両親は彼に山の様な食事を出しつつ話した。
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