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イナズマイレブン~クロスライジング~

作者:shoogel
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3人目のゴッドハンド使い

「あ、円堂くん!こっちこっち!」

「おう、待たせたな!って君たちは…?」

私は校舎から出てきた円堂くんに手を挙げる。
出てきた円堂くんは私に反応した後、私たちの前の人達に視線を向けた。
すると青の法被のようなユニフォームを纏った選手達は円堂くんに近付く。

「俺は陽花戸中キャプテンの戸田。君たちの活躍はよく知ってる!俺たちみんな君らのファンさ!」

そう言いながら円堂くんに話し掛ける戸田くん。
円堂くんも照れ臭そうに応える。

「そ、そんなファンだなんて!」

「よろしく頼むよ!」

「ありがとう!」

2人はそう言い握手を交わす。

「みんなよろしくな!」

「「「よろしく!!」」」

円堂くんは陽花戸中のメンバーに声を掛けると
憧れの円堂くんに声を掛けられたからなのか、少し緊張しながら返事を返していた。

そんな時、後方を戸田くんは覗き込み声を掛ける。

「立向居何してんだ!?円堂くんだぞぉ!!どうしたんだ円堂さんに会えたら俺感激ですっ!って言ってたのに!」

「は、はいぃ…!」

すると後方から選手の後ろに恥ずかしそうに隠れていた男の子が緊張した様子で出て来る。

「手と足同時に出てる…」

さぞかし緊張しているのだろう、まるでロボットのようにぎこちなく歩いてきた男の子は円堂くんの前に来る。

「…え、…え、円堂さん…!お、俺陽花戸中一年立向居勇気ですっ…!」

「お、おう…。よろしくな…?」

あまりに緊張している立向居くんの様子に驚きつつ、円堂くんは手を出し握手を求める。

「あ、握手してくれるんですか!!」

「勿論さ!」

「円堂さん!!」

立向居くんは興奮したように円堂くんの手を両手で握りぶんぶんと振る。

「感激です…!俺もうこの手一生洗いません!!」

「いや、ご飯の前には洗ったほうがいいぞ?」

「…ですよね?」

「「あはははは!!」」

そんな風に楽しそうに笑い合う2人。
円堂くんも立向居くんが気になったのか声を掛ける。

「君もサッカーが好きなのか?」

「はい!大好きです!!」

立向居くんの言葉を聞いた戸田くんが円堂くんに近寄る。

「立向居は元々MFだったんだけど、円堂くんに憧れてキーパーに転向したんだ」

「それ本当なのか?」

「は、はい…!」

そんな立向居くんに戸田くんは声を掛ける。

「立向居!あれを見せるんじゃなかったのか?」

「何だあれって?」

「俺が習得したキーパー技です…!でも、円堂さんに見せるのは緊張するなぁ…」

「見てみたいな!」

その言葉に立向居くんは嬉しそうに反応し表情が明るくなる。

「ほ、本当ですか!?」

こうして私たちは立向居くんのキーパー技を見るため、グラウンドに集まった。

「誰が蹴る?」

俺だ俺だとなる雷門FW陣。ジャンケンすることになり集まる。

「ちゃっかり黒薔薇オメェも参加するのかよ」

「当たり前だろ」

染岡くんの言葉にそう返す黒薔薇くん。
気のせいか黒薔薇くんの返し方雑になってない??
私もその中に参加する。

「じゃあ行くぞ!ジャンケン…ポン!!」

「…パー。あれ…私勝っちゃった…」

見事に揃いも揃ってFW陣はグー。
3人は自分のグーを見ながら悔しがる。

「3人とも似たもの同士…?」

「「「似てない!!」」」

3人の悔しそうな視線を背に私は立向居くんの前に立つ。

「どんな技なんだろう…」

私は屈伸して準備する立向居くんを見ながら考える。

「それじゃあ行くよ!」

大きく深呼吸をして構える立向居くん。

「お願いします!!」

私は久しぶりにこの技を繰り出す。
私はボールに投げキッスを放つ。するとボールが浮き上がりボールがハートへと変化する。

「行くよ!エンジェルキッスV3!!」

右足から放たれたシュートは立向居くんに襲い掛かる。

「…おおおお!!」

「…!?雰囲気が変わった!!」

立向居くんから放たれる気合いがビリビリと身体中に伝わる。

「ゴッド…ハンドォォォ!!!」

「…えっ!?」

私が驚くのも無理はない。
目の前には円堂くん、お兄ちゃんに続く、3人目のゴッドハンド。
立向居くんが発動した青のゴッドハンドは私のシュートの威力を奪っていき、見事に右手でキャッチした。

キュイイイイイイーン パシン!!

立向居くんが受け止めたその場は一瞬に沈黙に包まれる。

雷門イレブンはその立向居くんのゴッドハンドに驚きで口が開きっぱなしになる一方で、雷門イレブンで唯一円堂くんだけが嬉しそうに声をあげた。

「あははっ!ゴッドハンドだぁぁ!!凄いよ立向居!!お前やるじゃないか!!」

立向居くんに駆け寄る円堂くん。
先程立向居くんにされたように今度は円堂くんが立向居くんの手を掴みぶんぶんと振り回す。

「あ、ありがとうございますっ!!」

立向居くんが嬉しそうに笑う。

「でも、どうやって…?」

それが私の素直な疑問だった。
そもそもゴッドハンドは円堂くんがおじいちゃんのノートを見て死に物狂いの特訓で習得した技。お兄ちゃんに至っても円堂くんに協力して貰ったり、地獄のような特訓でようやく習得した技なんだ。

「あいつはゴッドハンドの映像を何度も何度も見て死ぬほど特訓したんだ」

「見ただけで身につけたってこと…?」

私は驚きが隠せない。
円堂くんやお兄ちゃんの地獄のような特訓をしないと習得出来ないゴッドハンドだから尚更だ。

「確かに天空橋も雷藤の技を見ただけで習得していたが、あの立向居という選手凄い才能だな」

「わ、私が使う技なんかただの劣化版だよ。あそこまで完璧になんか出来ない。あれは本物…だよ」

「ああ」

そんな驚く私や鬼道くん以外にも壁山くんも驚きが隠せないでいた。

「ゆ、夢っすよね…?キャプテンや雷藤さん以外がゴッドハンド使うなんて…」

「でもそんなに凄いことなのか?」

小暮くんはそんな驚くことなのかと不思議そうに話す。

「そやそや、あんなん手をビャーンやって前にビャーンやったら出来るんちゃうか?」

そんな風にリカちゃんが言う。
私が口を開こうとしたが円堂くんの親友風丸くんがいかに凄いことかを語る。

「円堂はゴッドハンドを身につけるために、それこそ血が滲むような特訓をしたんだ」

「お兄ちゃんだって本当に死に物狂いの特訓でようやく習得できた技なんだ」

円堂くんは風丸くんと私の言葉に頷く。

「俺や雷藤だって途轍もない特訓をした技だ。…立向居手を見せてくれないか?」

「あ、…はい」

立向居くんはグローブを外し円堂くんに見せる。

「やっぱりな!相当特訓したな!!」

「い、いえ!それほどでも…」

「努力は必ず結果に繋がる!…行くぞ!」

その円堂くんの「行くぞ!」と言う言葉が伝わったのか立向居くんと円堂くんはお互いに背中を向けて構える。

「「ゴッドハンド!!」」

どごおおおおおおおおお!!

お互いに技を向かい合って打ち合い、凄まじい爆音と共に辺りを砂煙が舞う。

「…凄い。間違いなく本物だ」

円堂くんとゴッドハンドを打ち合い、円堂くんのゴッドハンドに打ち負けることがなかった立向居くんのゴッドハンド。これを本物と呼ばず何と呼ぶのだろうか。

「やるな立向居!お前のゴッドハンドは本物だ!!」

「ありがとうございます!!俺もっともっと強くなります!!」

「ああ!その為にはもっともっと特訓だ!!」

「はい!!」

その後、私達は戸田くんの提案した合同練習を行い汗を流した。




「どうやったら正義の鉄拳が出せるんだ…。パッと開かず、グッと握って、ダン、ギューン、ドカンって」

「円堂!!」

「えっ…!どわあああ!」

見事に顔面にボールを食らった円堂くん。
私は練習を抜け円堂くんを手当てする。

「練習中にぼーっとしてたら危ないよ?…究極奥義のことでも考えてた?」

「何でそれを!?」

合同練習前に話を聞いていた私たち。
難しそうに考え込んでいた円堂くんを見てピンと来ないわけがない。

「円堂くんもお兄ちゃんもサッカーの事とかじゃないと、殆ど難しそうに考えないんだもん…!」

「げっ…。なんか嬉しくねえ…」

「ふふふ、冗談。これでも元々マネージャーだよ?」

「なあ天空橋。パッと開かず、グッと握って、ダン、ギューン、ドカン…ってどうゆう意味だろ」

「うーん…」

私は頭の中で色々考える。

「パーはゴッドハンドでしょ…?グーは爆裂パンチだし…」

「グーのゴッドハンドってことかな…?」

「だったらダン、ギューン、ドカンが要らないんじゃないかな?」

「ダンは踏み出しで、ドカンはパンチだと思うんだ」

「じゃあギューンは?」

「そこがわかんないんだよなぁ」

他にも色々考えてみたが、アイデアは出てこずお手上げだった。

「私にもわからないかなぁ…、ごめんね力になれなくて…」

「いや、聞いてくれただけでも嬉しいよ!」

そうして日が暮れるまで合同練習をした私たちは音無ちゃんの声で集まる。

「皆さんお疲れ様でーす!!」

音無ちゃんや秋ちゃん達が配るスポーツドリンクで喉を潤す私たち。

「なあ、明日練習試合しないか?」

戸田くんがそう円堂くんに声を掛けると立向居くんもうずうずしながら話す。

「そうですよ!円堂さんのプレー見せてください!!」

「いいぜ!やろう!!」

そうして私達は明日練習試合の約束を交わし、交流を交わす為今夜は学校でのお泊まりとなり、夕飯はみんなで作ったカレーなどでゆっくり過ごすことが出来た。




「…あれ?先客が居たのかな?」

私は星を見上げようとキャラバンの上に登ろうとすると上からは声が聞こえる。

「ああ。円堂と立向居だ」

「黒薔薇くん!」

「しーっ。あいつらの話の邪魔になるだろ」

そんな黒薔薇くんを私は見つめる。

「…もしかして盗み聞き?」

「…ぐっ。反論は出来ないな。まあ、どうやら究極奥義のことを楽しそうに円堂が立向居に話しているみたいだぜ。正義の鉄拳を俺はマスターしてみせるってここまで丸聞こえさ」

「殆ど聞いてるじゃん…」

「う、うるさいうるさい!早く寝るぞ?冷えるからな」

「黒薔薇くんそんなに誤魔化すの下手くそだったんだね…、ちょっと可愛いかも…!」

そんな黒薔薇くんの後に続いて私も明日に向け眠るのであった。 
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