| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

冒険酒場のおかみ

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二章

「馬鹿な話だよ」
「そうだよな」
「勿論あたしにも言い寄る奴がいるよ」
「姐さんもいけてるしな」
「今晩どうだいってね」
「それで受けてるかい?」
「そういうお店に行きなだよ」
 今度はこの返事だった。
「言うことはね」
「そうした酒場にか」
「そうした宿屋さんにね」
「この街にもあるか」
「ちょっとした街なら何処でもあるだろ」
 そうした店はというのだ。
「やっぱりね」
「そうだよな」
「あんたも行きたかったら行ってきな」
 戦士に笑って話した。
「お金があったらね」
「今仕事終えたばかりで結構あるぜ」
 戦士はウイスキーを飲みつつ微笑んで答えた。
「いい具合にな」
「じゃあ行ってきたらしいさ」
「ところが今パーティーの仲間が依頼主と揉めててな」
 仕事のというのだ。
「俺はここで留守番しててな」
「行けないんだね」
「そうさ、ここで待たないと行けないんだよ」
「だから今すぐは行けないんだね」
「行きたくてもな」
 例えそう思っていてもというのだ。
「そうなんだよ」
「それは残念だね」
「ああ、まあ明日だな」
 行くにしてもというのだ。
「それは」
「揉めごとが終わったらだね」
「ここに住んでる伯爵さんが依頼主だとな」
「あの伯爵さんならワイン贈ればいいよ」
 イーダは伯爵と聞いてすぐにこう言った。
「あの人赤ワインが好きでね」
「へえ、そうなのか」
「それを持って行けばね」
 赤いワインをというのだ。
「そうしたらだよ」
「揉めていてもか」
「結構折れてくれるよ」
「じゃあ仲間が不首尾に終わったらな」
「ワインを持って行くね」
「いいこと聞いたぜ、有り難うな」
「こうした話はすぐに入るんだよ」
 イーダは戦士に話した。
「冒険者の兄さん姉さん達がひっきりなしに出入りしてるんだ」
「だったらだな」
「色々な情報が入ってだよ」
「この街のことだってか」
「そうさ」
 こう戦士に述べた。
「色々話が入るんだよ」
「そうなんだな」
「だから冒険者関係の話だったらね」
「聞いてくれっていうんだな」
「一杯で教えてあげるよ」
「一杯は絶対か」
「ここは酒場だからね、ただ何杯も飲んでいいよ」 
 それは構わないというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧