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二人の博物誌 

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第二章

「息子もね」
「ご子息もですか」
「あとは友達だね」
「そこに僕も入るんですね」
「そうなるね」
「そうですね、その博物誌の進展次第ですね」
 少し考えてからだ、バッキーは答えた。
「それは」
「博物誌のだね」
「三十五年かけても」
 それでもというのだ。
「どこが完成ポイントか」
「それもだね」
「問題ですし」
「二人での作業だしね」
「相当進むのは」
「遅いよ」
 実際にとだ、スコットは答えた。
「働きながらだしね」
「先程お話された通りに」
「そうだからね」
「それじゃあ」
「趣味だしね」
「趣味ですか」
「そうだよ」
 その通りだというのだ。
「僕達のね」
「ご夫婦のですか」
「確かに完成させたいけれど」
 スコットはバッキーに穏やかな笑顔で話した。
「それでもね」
「完成させるとですか」
「もうね」 
 その時はというのだ。
「どうなるかな、僕達は」
「趣味がなくなりますか」
「そして三十五年も続けてきただけあって」
 それだけの歳月をかけてというのだ。
「生きがいにもね」
「なっていますか」
「だからね」 
 それでというのだ。
「もうね」
「若しですね」
「完成させたら」 
 その時はというのだ。
「寂しくなるかもね」
「そうですか」
「そうも思うよ、けれど続けることはね」
 博物誌の作成はというのだ。
「変わらないよ、完成させたい気持ちはあるしね」
「それじゃあ完成の時を待っていますね」
「その言葉嬉しいよ」
「そうですか、それでなんですが」
 ここでバッキーはスコットに自分から尋ねた。
「スコットさんと奥さんのご趣味でもあるんですよね」
「博物誌を作ることはね」
「他にご趣味は、それぞれでも」
「共通の趣味はガーデニングとお茶だね」
「ティータイムですか」
「それに読書だね」
 こちらもというのだ。
「僕はあとはゴルフをして妻はお散歩がね」
「ご趣味ですか」
「そんな感じだよ」
「そうですか」
「そしてね」
 さらに言うのだった。
「何と言ってもね」
「博物誌作りがですか」
「共通の趣味だよ」
「じゃあそのご趣味を」
「これからも楽しんでいくよ」 
 バッキーに笑顔で話した、そしてだった。
 スコットは妻と共に博物誌を作っていった、そうしてだった。
 歳月が経ち彼は定年で博物館を後にし妻もだった。 
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