道頓堀
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第四章
「これはまた」
「けど面白いでしょ」
「それはな」
実際にとだ、ローズも認めた。
「見てるだけで」
「これが阪神ファンです」
吉田はローズに笑顔で話した。
「阪神が好きで好きでしゃあなくて」
「身体全体で喜びを表現するんやな」
「そうです、大阪もそうした街ですし」
「賑やかで飾らんでな」
「明るくて楽しくて」
「それで阪神ファンもやな」
彼等もというのだ。
「ああするんやな」
「優勝したら」
「成程な」
「それでどうですか?」
吉田はローズに笑顔で問うた。
「大阪と阪神がさらに好きになりました?」
「なったわ、それでここもさらに好きになったわ」
「道頓堀も」
「そうなったわ」
ローズは吉田に笑顔で答えた。
「ほんまや」
「大阪も阪神も最高ですね」
「道頓堀もな、それは出来んけど」
ローズはここでは残念そうに語った。
「ずっとや」
「大阪にいたいですか」
「今ほんまに思ってる」
現在進行形でというのだ。
「前からやったが」
「そちらもさらにですね」
「そや、こんなええ街ないし」
「ええチームもないですね」
「大阪は永遠にこうであって欲しいわ」
こうも言うのだった。
「ほんまにな」
「そうですね、明日会社も賑やかですよ」
「阪神優勝したからやな」
「そうです、ほんま大阪も阪神も最高です」
吉田は満面の笑みで語った、他の同僚達も笑顔だった。ローズはそんな彼等も見てあらためて思った。その時が来ればこの街を去らねばならないことが残念だと。
それでだ、吉田にこう言った。
「ここにおる間はな」
「大阪に」
「大阪を満喫するわ」
「そうしてくれますか」
「そしてまた来るわ」
アメリカに戻ってもというのだ。
「そして何時か大阪にずっと暮らせる」
「そうなりますか」
「そうなる様にするわ、ほんま大阪ラブや」
ローズも満面の笑顔になった、そのうえで堀に飛び込むファン達を見た。彼等もまた満面の笑みであった。
道頓堀 完
2022・8・15
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