ナマハゲは怖くなくても
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第二章
「蛇なんて」
「細長くて舌出して目も何もかも気持ち悪いし」
「ナマハゲの方が怖くない?」
「ナマハゲなんて怖くないわよ」
香耶は兄が怖いそれは怖くないと答えた。
「けれどよ」
「蛇は怖いんだ」
「絶対に近寄りたくないから」
こう言ってだった、香耶は子供の頃どうしても蛇に近寄ろうとしなかった。見るのも嫌であった。それは彼女が大人になってだ。
母親そっくりの物凄い美人になり大学を卒業して就職し結婚間近になってもだ。
やはり立派に成長し大学を卒業し就職した兄にこう言われた。
「何だ、まだ蛇は怖いか」
「怖いわよ」
兄にテレビに出た蛇を見て顔を真っ青にさせてチャンネルを換えてから兄に答えた。
「あんな怖いものないわよ」
「僕はナマハゲは怖くなくなったのに」
「私は違うの」
結婚のことを家族で話す為に実家に戻って来た兄に話した。
「蛇がね」
「苦手なままか」
「そうよ、蛇だけはね」
どうしてもというのだ。
「苦手よ」
「そうなんだ」
「生理的にね」
「他に怖いものはないのにな」
兄は妹の蛇以外のものへの肝っ玉について言及した。
「本当に蛇だけはか」
「ええ、けれど彼も知ってるから」
結婚する相手もというのだ。
「それでわかってもらってるから」
「いいか」
「そうよ、誰にだって怖いものがあるって」
「まあ僕も今は成人病が怖いし」
「そうでしょ。私だってね」
子供の頃から兄以上に怖いもの知らずでもというのだ。
「怖いものがあるってことよ」
「そういうことか」
「そう、兄さんがナマハゲ怖いって言っていて笑ってたけど」
子供の頃はというのだ。
「私だってね」
「蛇が怖くてか」
「怖いものがあるのよ」
こう兄に話してだった。
「誰だって」
「そうなんだね」
「そうよ、今はそう言えるわ」
大人になって色々知った今はとだ、こう話してだった。
香耶は雄馬に結婚相手のことを話しはじめた、それは完全なおのろけで怖いという感情はなかった。もう蛇のことは彼女の頭の中になかった。
ナマハゲは怖くなくても 完
2023・1・18
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