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大阪出張の恐ろしさ

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第一章

               大阪出張の恐ろしさ
 文房具を扱っている企業である八条鉛筆北海道支社に勤務している真部明は妻の麻子に自宅のマンションで言った。
「来月大阪に出張することになったよ」
「えっ、またなの」
 麻子、茶色の髪の毛を胸の辺りまで伸ばした細面で小さめの吊り目で小さな唇の彼女はやや顔を曇らせて応えた。背は一五九位ですらりとしていて足がズボンからはっきりわかる位奇麗だ。
「やっぱり本社が大阪だと」
「大阪出張も多いよ」
 明は笑って応えた、背は一七五位で卵型の顔で黒髪をショートにしていてドングリ型の目で鼻が高い。身体は痩せている。
「やっぱりね」
「それはいいけれど」
「あの、風俗とか行かないし出会い系も」
「会社でもよね」
「俺そういうのは興味ないから」
 女遊びはというのだ。
「安心してよ」
「それは私もわかってるけれど」
 妻は夫に眉を曇らせて返した。
「けれどね」
「浮気しないならいいだろ」
「それはそうだけれど」
「安心していいさ、じゃあ大阪にな」
「出張ね」
「いやあ、楽しみだよ」
 満面の笑みで言ってだった。
 明は意気揚々と大阪に行った、そして。
 大阪に行くとだ、そこにいる同期に満面の笑顔で言った。
「来たぜ」
「来たか、じゃあ早速な」
「お好み焼き食いに行こうな」
「ああ、それで焼きそばにたこ焼きもだよな」
「いか焼きもだよ」
 こちらもとだ、明は同期に満面の笑顔のまま言った。
「食おうな」
「串カツもあるしな」
「寿司屋行ったらバッテラな、難波に行ってな」
 そうしてというのだ。
「兎に角食って食って食いまくろうな」
「昼と夜でな」
「はしごしてな、きつねうどんも食って」 
 こちらも忘れていなかった。
「モダン焼き、あと難波とかの有名な店も全部な」
「今回も制覇するな」
「朝は朝で関西限定のスーパーやコンビニで売ってるもん食って」
「楽しむな」
「ああ、当然飲みもするぜ」
 明はこちらも忘れていなかった。 
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