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大阪の目目連

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第六章

「幽霊で」
「身体があるかないかの違いだね」
「人間と幽霊はね」
「そうだしね」
 これは仏教の考えである、誓一郎も結衣もこう考えて言うのだった。
「別にね」
「怨霊でもないとね」
「怖くないわ」
「そうなんだよね」
「それで」
 結衣はさらに言った。
「妖怪はね」
「悪いことしないとね」
「楽しい存在よ」
「そうそう」
 誓一郎もまさにと答えた。
「妖怪はね」
「そうだしね」
「別にね」
「こちらもね」
「怖くないよ」
「問題は幽霊か妖怪か」
「そういうのじゃなくてね」
 種類ではなくというのだ。
「その性格だよ」
「そうなのよね」
「だからね」
 それでというのだ。
「別にね」
「妖怪でもね」
「何もしてこないなら」
 それならというのだ。
「怖くないよ」
「そうなのよね」
「だからね」
「まずはどんな妖怪か見ましょう」
 二人でエレベーターの中でこう話した、そして部屋がある階に着くと入り口のランプが赤く光っている部屋に入ってだった。
 鍵を閉めて部屋の灯りを付けるとだった。
 和風の内装の部屋でベッドは布団の様だった、そして。
 その中にだ、障子もあったが。
「ああ、あそこにね」
「いるわね」
「うん、障子の和紙の部分にね」
「目が一杯あるわね」
 障子の和紙の画一つ一つにだ。
 一対の目があった、二人でその目を見て話した。
「これ目目連ね」
「古い家とかに出るっていう」
「廃墟とかにもね」
「目が出てね」 
 障子の和紙の部分にというのだ。
「それで見る妖怪だね」
「ええ、けれどね」
「見てるだけでね」
「何もしてこないから」
 そうした妖怪だからだというのだ。
「ここはね」
「うん、特に意識しないで」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「楽しめばいいわね」
「そうしようか、というかね」
 誓一郎は結衣に笑って話した。
「見せつけるというか見られながらっていうのも」
「えっ、何そのプレイ」
 結衣は誓一郎のその嗤っての話に引いて応えた。
「それは流石に」
「駄目かな」
「マニアックというか変態過ぎるでしょ」
「じゃあそういうのは意識しないで」
「そうよ、まあ見られてもね」
 目目連を見て言う、二人をじっと見ているがやはりそれだけである。 
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