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星河の覇皇

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第八十二部第五章 撤退する者達の焦りその三十四

「一歩間違えますと」
「英霊が怨霊となる」
「そうなることも有り得ますね」
「英霊が転じて」
「そうなることも有り得ますね」
「そうです、若し私利私欲で貶めたりすると」
 二十世紀後半から日本の左翼勢力が行ってきたことだ、とあるこの時代では悪の代名詞となっている倒産した新聞社が自分達の立場が危うくなったと見て急に靖国神社の問題を持ち出してはじめたものと歴史では定義されている。
「祟ります」
「英霊が怨霊となり」
「そうしてですね」
「恐ろしいことになりますね」
「その時は」
「そして平安時代のお話が出ましたが」 
 八条は今度はこの時代の話をした。
「この時代は実にです」
「怨霊のお話が多いですね」
「極めて」
「左様ですね」
「源氏物語にしても」
 この有名な古典もというのだ。
「怨霊が出ますし」
「そういえばそうですね」
「生霊として出て来たりするそうですね」
「そして他の古典にもですね」
「怨霊はよく出て来ますね」
「はい、実に多くの古典に」
 まさにというのだ。
「怨霊は出て来て歴史でもです」
「出て来ますね」
「平安京は怨霊を念頭に置いて築かれたそうですね」
「仏教や神道、道教、陰陽道と様々な見地から」
「そうされているそうですね」
「今は皇居はそうされています」 
 帝が座しておられるその場はというのだ。
「つまり今もです」
「日本は怨霊を警戒されていますか」
「この時代も」
「そうなのですね」
「はい」
 その通りだとだ、八条は答えた。
「ですがまことに平安時代は」
「実に怨霊が多く」
「実際に恐れられていて」
「祟りも現実だと考えられていましたね」
「鬼や妖怪よりも」
 日本では、というのだ。
「怨霊が恐れられていました」
「それが日本ですね」
「そしてその話はフランスにもあり」
「それで、ですね」
「フィリップ四世もそれで死んだと言われていますね」
「怨霊に殺されるには」
 どうかとだ、八条は話した。
「それなりの理由がある場合が多いです」
「そのフランス王然りですね」
「テンプル騎士団を陥れ多くの団員を殺し財産を掠め取った」
「そうした悪事をしたので」
「フランス王が為したことは悪です」
 フィリップ四世、彼がしたことはというのだ。
「紛れもなく」
「勿論条約も何もなかったですね」
「教皇のバビロン捕囚についても」
「政争で軍隊を使ったのですから」
「言うならば戦争ですね」
「そう言っていいです、相手の教皇も酷かったですが」
 碌な人物ではなかったというのだ。 
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