レーヴァティン
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第二百六十七話 西に帰りその十二
「この場合の親父は」
「そうしたタイプの人でな」
「怖いって言ってもな」
「人で怖いのは狂人だったりな」
若しくはとだ、英雄は話した。
「本物の闇を抱えた奴だ」
「そうした奴が怖いな」
「こうした奴は災害と同じ様に怖いかも知れないが」
「今俺達が言う親父はな」
「実は怖くない」
「雷さんでもな」
久志はまたこの人の名前を出した。
「あれ位ならな」
「怖くはないな」
「台風の方がずっと怖いな」
「そうだ、日本人の怖いものに戦はないが」
「災害はふんだんにあるな」
「その災害でだ」
まさにこれでというのだ。
「どんな建築でもだ」
「壊されるな」
「春の夢の如くだ」
英雄はこうも言った。
「若しくは川の泡だ」
「そんなものだよな」
「だから江戸城の天守閣も焼けた」
「かなりの金と人手を使ったが」
「しかしだ」
それでもだったというのだ。
「それがだ」
「焼けてなくなったな」
「見事にな」
「そんなものだな」
「大仏にしろだ」
奈良のこれの話もした。
「こちらはどちらも戦乱だが」
「この世界にあるのは初代でもな」
「起きた世界のものは三代目だ」
「物凄く国力注いで造ったけれどな」
特に初代である、国家守護の為の一大事業であったのだ。
「それがな」
「平家の戦乱の中でだ」
「焼けてな」
「そしてまた造ったが」
「戦国時代に松永弾正に焼かれて」
「今は三代目だ」
「そうなったな」
久志もそれはと頷いた。
「実際に」
「それを見るとな」
まさにというのだ。
「建築はだ」
「少なくとも自分の贅沢て建ててもな」
「一時のことだ」
こう言い切った。
「所詮な」
「それじゃあな」
「建てないものだ」
「そうなるな、じゃあお互いにな」
「このままだな」
「そうしたことに金を使わずにな」
「ああ、やっていこうな」
「政をな、ではだ」
英雄はあらためて話した。
「お互いにだ」
「神託を伺うか」
「そうしていくぞ」
「遂にな」
久志も貝殻の向こうで頷いて応えた、そうしてだった。
英雄は彼との貝殻での話を終えると仲間達に対して言った。
「ではな」
「いよいよぜよ」
当季が笑って応えた。
「神託を伺うぜよ」
「その為にだ」
「都の御所に全員で参内して」
「神々から伺うぞ」
その神託をというのだ。
「その用意に入るぞ」
「承知したぜよ」
当季も応えた、そうしてだった。
英雄達は神託を伺う為に都に向かう準備に入った、それは久志達も同じでありいよいよその時が来たのだった。
第二百六十七話 完
2022・7・23
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