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ブラッシングでもわかる

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第二章

「ケージに入れたままでな」
「見向きもしなかったわね」
「それでブラッシングもな」
「してなかったわね」
「それでいい筈があるか」
 怒った顔と声で話した。
「毛は絡まるしだ」
「不衛生になるし」
「それで蚤や虱がついたらな」
「ふわりが可哀想よ」
「あんな連中は犬にそれがついてもな」
 蚤や虱がというのだ。
「捨てる理由にする」
「絶対にそうよね」
「子供につくとか言ってな」
「治療も何もしないでね」
「そうした意味でもだ」 
 まさにというのだ。
「あいつ等はな」
「犬を飼ったら駄目だったわね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「飽きたらケージの中に入れたままでな」
「お散歩も連れて行かないで」
「そしてだ」 
 そのうえでというのだ。
「トイレもちゃんとしないでな」
「声もかけないで」
「鳴いたら怒鳴るだけでな」
「それでブラッシングもしないなら」
「最低だ」 
 まさにというのだ。
「俺はやがてああすると確信していたがな」
「実際にそうしたわね」
「世の中生きものを飼ったら駄目な奴等もいてだ」
 そしてとだ、文太はさらに話した。
「もっと言えば生きていてもだ」
「駄目だっていうの」
「そうだ、生きていたら駄目な奴等もだ」
「世の中にはいるのね」
「ああした連中だ」
 ふわりの前の飼い主達の顔を思い浮かべながら話した、その顔は文太の中では極めて醜悪なものだった。
「本当にな」
「そういうことね」
「ああ、あんな連中みたいにはな」
「絶対になったら駄目ね」
「そうだ、反面教師にしてな」
 そうしてというのだ。
「やっていくぞ」
「そうすべきね」
「ああ、これからもな」
 ふわりを見ながら話した、ふわりは二人の間にちょこんと座っていた。夫婦でその彼女を見て自然と笑顔になった。


ブラッシングでもわかる   完


                  2022・10・25 
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