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レーヴァティン

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第二百六十四話 神託に頼るその三

「そのお陰かだ」
「その人は助かったか」
「そうなった、そしてだ」
 英雄は久志にさらに話した。
「今はリハビリの介もあってな」
「お元気なんだな」
「元通りとはいかないが」
 それでもというのだ。
「かなりだ」
「よくなったか」
「そうなった」
「それは何よりだな」
「かなり危なかったが」
 脳梗塞で倒れたその時はというのだ。
「何とかだ」
「今はか」
「動ける様になってくれた」
「それは何よりだな」
「俺も他の親戚の人達もだ」
 英雄は話を続けた。
「百度参りとまではいかないが」
「お参りしたんだな」
「それで危ない状況を過ぎてな」
 そうなってというのだ。
「それでだ」
「元気になってくれたからか」
「俺は神仏を信じるしな」
「頼むこともか」
「していっている」
「そうなんだな」
「意外に思うか」
 ここで久志を見て彼に問うた。
「俺がそうすることを」
「人ってそうだろ」
 笑ってだ、久志は英雄に言葉を返した。
「何だかんだ言って弱くてな」
「それでか」
「何かを頼ってすがるものだろ」
「そうなるか」
「そうした存在を否定している共産主義だってな」
 この思想においてもというのだ。
「人民とか党とかイデオロギーを頼んでるだろ」
「そうしたものにな」
「何にも頼らない、頼まないってな」
「人にはないか」
「そうだろ、弱いものなんだよ」
 英雄にこうも言った。
「人間はな」
「だからか」
「お前が神仏に頼んでもな」
 そうしてもというのだ。
「別にな」
「構わないか」
「ああ」 
 実際にというのだ。
「俺もそうだしな」
「それでか」
「お前が神仏に頼んでもな」
「いいか」
「恥ずかしいことじゃないさ」
 神仏に頼むことはというのだ。
「全くな」
「そういうものか」
「ああ、だから俺もな」
「デルフォイでか」
「神託を伺うつもりだったしな」
 最初からというのだ。 
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