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レーヴァティン

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第二百六十三話 全ての話を整えその十二

「時には楽しみの為にその手で惨殺するなぞ」
「まさにシリアルキラーだ」
「しかも極めて悪質な部類の」
「それではだな」
「とてもです」
 女性としてだ、紅葉は言った。
「前にいて欲しくない、もっと言えば」
「この世にだな」
「いて欲しくないです」
「そこまで思うな」
「どうしても」
「それは当然だ、ベリヤの様な奴を好むならそれだけで異常者だ」
 英雄は言い切った。
「男でもな」
「まして女性なら」
「そう思うことがだ」 
 今の紅葉の様にというのだ。
「当然だ」
「そうですね」
「ああ、幕府ではな」
「決してですね」
「あの様な奴は用いない」
 絶対にという言葉だった。
「俺もな」
「それは何よりです」
「何度も言うが無能な働き者は適材適所だ」
 それでどうにでもなるというのだ。
「それでいい」
「そうであります、向いている仕事に就ければであります」
 峰夫も言うことだった。
「ある仕事で無能であっても」
「有能になるからな」
「一転してであります」
「モーツァルトを普通の企業の営業に就けられるか」
 英雄は峰夫に問うた。
「ベートーベンでもいいが」
「二人共全く向いていないであります」
 峰夫も言い切った。
「どう考えても」
「そうだな」
「二人共人付き合いに問題があったであります」
「それもかなりな」
「それではであります」
「現にゴッホは画商としては全くだった」
 彼は学校を卒業した後親戚の縁でそちらの仕事に就いたのだ、だがその性格故に画商としては全くであった。
「自分のいいと思う絵ばかり出してな」
「お客さんが買いたい絵を聞かなかったであります」
「それではだ」
「画商は無理であります」
「その二人も同じだ」
 ベートーベンもワーグナーもというのだ。
「どう考えてもだ」
「営業は無理であります」
「彼等は作曲家になるべくしてだ」
「なったであります」
「ゴッホも然りだ」
「画家としては徐々に認められてきていたでありますな」
「そしていよいよだ」
 まさにであったのだ。 
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