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イベリス

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第七十話 尊敬と軽蔑その一

                第七十話  尊敬と軽蔑
 咲は夏休みの間アルバイトに部活に励んでだった。
 家では勉強もした、それで夕食の時一緒に食べている母に対しておかずの厚揚げを生姜醤油で食べつつ言った。
「何かお勉強がね」
「調子悪いとか?」
「いや、それがね」
 向かい側の席にいる母に答えた。
「忙しい筈なのに」
「それでもなの」
「妙にはかどるの、身体は何かと動いてね」
「アルバイトでも部活でもね」
「行き来してるだけで」
 電車に乗って歩いてというのだ。
「それだけでね」
「お家にいるだけじゃないからね」
「ええ、それでね」
 そうして身体を動かしていてというのだ。
「疲れてる筈なのに」
「お勉強がはかどるのね」
「妙にやる気が出て」
 それでというのだ。
「もう宿題かなり進んだわ」
「それは何よりね」
「電車に乗ってる間漫画やラノベ読んで」  
 そちらの趣味を満喫してというのだ。
「それでお家でもゲームしてるけれど」
「それでもなのね」
「登下校にアルバイト行って」
 咲はまた話した。
「アルバイト先でお掃除したり雑用してね」
「身体動かしてるのね」
「そうしていたら」
「身体使っていて」
「それでね」
「疲れているのに」
「その筈なのに」
 胡瓜の冷たいスープを飲みつつ話した。
「妙にね」
「お勉強がはかどるのね」
「そうなの、スポーツはしないのに」
 咲はそうである、だから部活も文科系なのだ。
「身体動かしたらね」
「それね、身体動かすとね」
 母は娘の言葉に応えて話した。
「それがいいストレス解消、気分転換になって」
「それでなの」
「頭使うこともはかどるのよ」
「そうなの」
「人によるけれど」
「私もなのね」
「運動しなくても」
 そうであってもというのだ。
「歩いたりね」
「お掃除したりして」
「身体動かしたらね」
 そうしたらというのだ。
「それも運動になるから」
「ストレス解消と気分転換になって」
「いいのよ」
「そうなのね」
「だからね」 
 それでとだ、母は話した。
「今あんたね」
「お勉強がはかどってるのね」
「そうよ、運動しなくてもね」
「歩いてお掃除して」
「身体動かすとね」
「いい運動になるのね」
「それだけでね、あんた愛ちゃんとプールで遊んだでしょ」
 母はこのことも言ってきた。
「そうでしょ」
「あの時もいい運動になったわ」
「そうでしょ、そうしたことをしてると」
「かえって勉強はかどるのね」
「これは人によってだけれど」
 それでもというのだ。 
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