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レーヴァティン

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第二百六十二話 神託の時その二

「何人でも一度に相手にしてだ」
「楽しんでもか」
「それはしない、そして誰か既に相手がいるのならな」
「彼氏持ちや人妻さんはか」
「相手にしない」
「だから娼館に行くんだな」
「娼館なり遊郭なりな。そこに入る事情はそれぞれだが」
 それが言えぬ者も多い、そうした場所に入るにはそれなりの事情が存在しているということはこの世界でも同じである。
「しかしな」
「後腐れはないか」
「そうした店だとな」
「あれか。無名の芸者さんを相手にする」
「それと同じだ」
「誰の相手でもないか」
「そうした女と遊んでもだ」
 娼婦そして花魁達と、というのだ。
「そうした仕事だからな」
「後腐れはないな」
「そうだ、幾ら俺が将軍でもだ」
 東の浮島を治める者でもというのだ。
「誰かの女に手を出すとな」
「何かとあるな」
「フランスでそうした王様がいたな」
 英雄はにこりともせず語った。
「女好きでな」
「あそこの王様は女好き多いだろ」
 歴史的にとだ、久志は返した。
「ルイ十四世とかアンリ四世とかな」
「今言うのはフランソワ一世だ」
「その王様か」
「ヴァロワ朝の王だった」
「確かハプスブルク家とイタリアを争ったな」
「他にも何かとな。優れた王と言ってよかったそうだが」
 そして堂々たる体格でも知られていた、身長二メートルに達する大男だったという。
「だが無類の女好きでだ」
「誰の女でも手を出していたか」
「廷臣の妻でも誰でもな」
「そりゃ怨みを買いそうだな」
「ある商人の妻もその相手にしたが」
 王の権威まで使ってだ、その好色さはビクトル=ユゴーは逸楽の王という作品の題材にした程であった。
「商人はそれを怨んでだ」
「王様を殺したか?」
「そうした、しかも自殺の様にな」
「王様殺すってのも大変だからな」
「自分が梅毒になってだ」
 まずそうなりというのだ。 
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