パチンカスもたまには
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二章
夫婦が家を出るとすぐに甥に言った。
「今日は宜しくな」
「叔父さんパチンコ行かないんだね」
「今日はな、じゃあお前は自分の部屋でゲームでもしてろ」
こう甥に言った。
「テレビでもスマホでもいいからな」
「そうしていいんだ」
「ああ、好きなだけな」
「勉強しなくていいの?お母さんいつも言うけれど」
「したいならしろ」
素っ気ない返事で答えた。
「お前がしたいならな」
「うん、じゃあ学校の宿題と予習復習してからゲームするね」
「しっかりしてるな」
「あとお庭でテニスの素振りもするから」
テニスを習っているのでこうも言うのだった。
「そうするね」
「じゃあ部屋で見ておいてやるな、庭でもな」
「付き合ってくれるんだ」
「お前に何かあったら俺が怒られるからな」
姉にというのだ。
「傍にいてやるさ、あと飯は適当なもんで適当に作るからな」
こちらの話もした。
「食えよ」
「うん、それじゃあね」
「ああ、じゃあ部屋に行こうな」
邦衛のというのだ、こうしてだった。
信夫は邦衛の宿題と予習復習やテニスの素振り、ゲームをパチンコ雑誌や攻略サイトを見てそうしてだった。
昼は自分が作って一緒に食べて後片付けもしてだった。
おやつも出してやった、そして五時過ぎに。
帰って来た姉にだ、こう聞かれた。
「何もなかった?」
「俺がパチンコ行けなかっただけだよ」
これが彼の返事だった。
「何もなかったよ」
「叔父さん凄く優しかったよ」
邦衛も笑って言ってきた。
「ちゃんとご飯も作ってくれたしね」
「そうなの」
「うん、だからね」
それでというのだ。
「僕叔父さんみなおしたよ、ちゃんとしたところあるんだね」
「当たり前だろ、パチンコをしてもな」
信夫は甥に笑って話した。
「やることはやらないとな」
「駄目だね」
「そうだよ、じゃあ姉ちゃんと義兄さんも帰ってきたし」
信夫は笑って話した。
「パチンコのゲームでもするか」
「行かないの?実際に」
姉は早速スマートフォンを出した弟に問うた。
「まだやってる時間でしょ」
「今日は勉強したことをゲームで試すよ」
「そうするの」
「それから実際にな」
本物のパチンコでというのだ。
「やるさ、だからな」
「今はなのね」
「ゲームするな、晩飯になったら呼んでくれよ」
「そうするわね」
姉は弟に応えた、そして実際に夕食が出来ると彼を呼んで皆でそれを食べた。そしてその時にあらためて今日のことを褒めたのだった。
パチンカスもたまには 完
2022・9・23
ページ上へ戻る