八条学園騒動記
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第六百七十話 戦い終わって日が暮れてその二
「誰が言うか、言うとしたらな」
「言った方がおかしいですね」
「その人の方が」
「そうですよね」
「そうだ、だから俺もだ」
艦長もというのだ。
「エウロパじゃ士官はパブに入らないがな」
「実際エウロパ戦役であっちで随分言われましたね」
「何で士官が平気でパブに入るのか」
「兵士が団体でバーで飲むとか」
「レストランでも言われましたね」
「貴族用のレストラン?何だそれは」
艦長は肴のソーセージ特大でマスタードをたっぷりとかけたものにかぶりつき食いちぎって咀嚼してから言った。
「そんな馬鹿なものあるからだ」
「あっちは駄目なんですよ」
「貴族が幅を利かせてるから」
「だからですよ」
「あそこは駄目なんですよ」
「本当に」
「そうだ、あの国は階級があるからな」
それだけにとだ、艦長は話した。
「連合から見てずっと小さいんだ」
「そうですよね」
「敵対していても国力は全く違います」
「総生産は六百倍」
「所得や一人当たりの生産は十五倍」
「人口は四十倍です」
「あれが階級がある国だ」
艦長は今度は嘲笑して述べた。
「階級があるとな」
「正常な発展が出来ないですからね」
「それを阻むから」
「だからですね」
「ああなるんですね」
「そうだ、パブに行くにしてもな」
それでもというのだ。
「誰でも行ける様じゃないとな」
「正常な発展もないですね」
「そうですね」
「それじゃあですね」
「我々はですね」
「誰でも金さえあればな」
それならというのだ。
「誰でも行ける社会を守ってな」
「今は喜びましょう」
「あの博士に勝ったことを」
「そうしましょう」
「ああ、是非な」
艦長は満面の笑顔で言ってだった。
士官達と酒と肴を楽しんだ、そしてその店に来た艦の他の乗員達下士官や兵士達にも笑顔で声をかけた。
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