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レーヴァティン

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第二百五十九話 ヴェネツィアに向かう中でその十三

「洪水とかね」
「あるね、海に沈めたり」
「ええ、ノアの洪水とか」
「デゥカリオンの洪水とか」
 ギリシア神話のそれも話した。
「あるけれど」
「魔神がていることはね」
「邪なものを洗い流すんじゃなくて」
「他のね」
 また違ったというのだ。
「特殊なね」
「悪意を感じるね」
「あんたもそうね」
「感じるさ」
 桜子は双葉に目を怒らせて語った。
「本当にね」
「そうよね」
「この世界の人達は別に腐りきってないね」
「洪水に遭う様な」
「そうじゃないね、しかもそんな世界を」
 腐りきっているとまでは言えない世界をというのだ。
「洗い流すどころかね」
「石にして沈める」
「それで自分の正体もわからないのに」
「具体的にどうしたら世界を救えるか」
「それをはっきり言わないで調べさせるなんてね」
「明らかにね」
 双葉は言った。
「残った人達を弄ぶ」
「そうしたものを感じるね」
「だからね」
 それでというのだ。
「私としてもね」
「悪意を感じるね」
「若し只の試練なら」
 それならというのだ。
「自分が何者か」
「そしてどうしたら世界を救えるかね」
「はっきり言ってるわ」
「そうだね」
 桜子もそれはと頷いた。
「そうしてるね」
「それをしないのは」
「遊んでいる様な」
「そうしたね」
「悪意を感じるね」
「ええ、だから海の魔神は」
 この敵はというのだ。
「アッラーの様な神とは違うわ」
「かなりの力を持っていてもね」
「むしろヤハウェの神を歪ませた様な」
「キリスト教のかい?」
「いえ、ユダヤ教よ」
 そちらの宗教だとだ、双葉は答えた。
「あちらの方よ」
「ああ、ユダヤ教だとね」
「あちらの神様の方が近いわね」
「言われてみればね」 
 桜子も頷いた。
「そっちだね」
「そうよね」
「それも歪ませた」
「そんな風ね」
「とんでもない力を持って」 
 神のそれをというのだ。
「そしてね」
「その力で世界を思うままにする」
「そうしたね」
「歪んだ神様だね」
「そう思うわね」
「どうしてもね」
 こう桜子に話した。 
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