ハッピークローバー
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三十三話 夏が近付いてその十四
「とことん恰好悪いわね」
「そんな人生でしょ」
「絶対に送りたくない」
留奈はこうも言った。
「そうした人生ね」
「そうでしょ」
「ええ」
「だったらちゃんと働いて勉強して」
「人生のことを」
「そして他のことからもね」
アルバイドからだけでなくというのだ。
「勉強してね」
「そうしていくわね」
「お願いね」
こう言ってだった。
母は話を終えた、だがここでだった。
母は娘にこう言った。
「ところであんたテストはどうなの?」
「一学期の期末?」
「勉強してる?」
「そう言われるとあまり」
「だったら今からしておきなさい」
今度は学業のことを話した。
「いいわね」
「そっちもしっかりね」
「そう、勉強して」
そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「出来るだけいい成績取れってことね」
「幾ら大学はエスカレーターでもね」
それで入られてもというのだ。
「いいに越したことないでしょ」
「推薦その方がいいわ」
「だったらね」
それならというのだ。
「しっかりとね」
「高一の頃から」
「そっちも忘れないで」
「ちゃんとしておくことね」
「いいわね」
「うん、赤点取らないんじゃなくて」
「むしろいい点取ってね」
そうしてというのだ。
「推薦貰える様によ」
「しておくことね」
「そうよ、いいわね」
「そうね、その方がいいし」
留奈もそれならと頷いて応えた。
「勉強もするわ」
「そうしなさいね」
学業のことも話してだった、母は話を終えた。そして留奈はこの日から勉強をはじめた。梅雨はそのなかでもう終わりが見えてきていた。
第三十三話 完
2022・4・8
ページ上へ戻る