彼氏の正体

　　　　　　　　　　　　　　　　彼氏の正体
　早乙女祐と筑前茉莉はこの時同じ大学で共通の友人である弘田真弓に呼ばれていた、それで学校の近くの喫茶店にいたが。
　そこでだ、早乙女はその涼し気な顔を曇らせていた。髪型も整っていて中背ですらりとした如何にも好青年といった感じだ。
「言いたいことって何だろうな」
「悪いことじゃないといいけれど」
　茉莉は心配そうに言った、アーモンド形の明るい感じの目で眉は細く長く奇麗なカーブを描いている。色白で丸めの鼻で黒髪を脇までの長さで切ってセットをしている。背は一五二位で均整の取れたスタイルである。二人共ズボンとシャツでラフな服装だ。
「あの娘いい娘だけれど」
「どうも世間知らずだからな」
「ええ、何もなかったらね」
　心から言うのだった。
「本当に」
「そうだよな」
　早乙女は不安そうに言った、そうしてだった。
　二人で真弓を待った、やがて古風なイギリスの趣の店にだった。
　やや色黒ではっきりした明るい目で唇は大きく高い鼻と一六六程の大きな胸と長めのセットした髪の毛の真弓が来た。
　その彼女がだ、二人が並んで座っている席の向かい側に来てだった。
　そうしてだ、二人に陽気に話した。
「いや、私にも遂によ」
「遂に？」
「何かあったの？」
「彼氏が出来たのよ」
　明るい顔で言うのだった。
「それも超イケメンでね、そのことを報告しに来たの」
「そうか、よかったな」
「おめでとう」
「有り難う、それでね」
　真弓は自分に祝福の言葉を贈ってくれた二人にだった。
　満面の笑顔になってだ、あらためて言った。
「彼氏とのツーショットスマホにあるけれど見たい？」
「まあ見せてくれるなら」
「それならね」
　二人は何でもないという声で応えた。
「そうして」
「そっちも見せたいよな」
「うん、じゃあね」　
　真弓は二人の言葉を受けてだった。
　自分のスマートフォンを出してそれでツーショットの片方にいる彼氏を見たがやたら柄が悪く目つきが嫌な鋭さを見せ猿の出来損ないの様な顔のその姿を見てだった。
　まずは早乙女がだ、苦い顔で言った。
「こいつ噛女多だよな」
「そうよね、最底辺高校の」
　茉莉も言った。
「県内最悪って言われてる学校にいた」
「あの学校でも有名な屑だった」
「今はチンピラやってるらしいけれど」
「誰かって思ったら」
「この人だったのね」
「漢気あっていい人よ」
　真弓は何も知らないまま言った。
「だからお付き合いしてるけれど」
「お前この県の生まれじゃなかったな」
　だからだとだ、早乙女は笑顔で語る真弓に話した。
「そうだったな」
「それがどうかしたの？」
「すぐに別れろ、悪いことは言わないからな」
「口では何て言ってるか知らないけれどこの人は駄目よ」
　茉莉も話した、二人共真剣な顔である。
「何があってもね」
「すぐに別れろ」
「さもないと大変なことになるわよ」
「そうなの？大丈夫よ」
　やはり何も知らないまま言う。
「この人はね」
「大丈夫じゃない」
「これから私達の言うことをよく聞いてね」
　二人は真弓に真剣な顔で話した、彼のことそして彼が通っていた高校のことを。すると真弓もだった。
　蒼白になってだ、二人に応えた。