ケーキを食べに入った美女
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第二章
「何処かで見なかったか?」
「あの人だね」
「ああ、何処かでな」
「あれだけ背の高い女の人あまりいないけれどね」
峯幡は美人の一七五あった背のことを話した、靴はヒールだったので余計にそう感じた。
「何処かでってなると」
「お前も思うだろ」
「そうだね、目立つ人だったけれど」
「何処で会っただろうな」
「ちょっとわからないね」
「ああ、何処だった?」
大門は峯幡と共に街を歩きながらだった。
美女を何処で見たか考えた、だがこの時は答えは出ず。
次の日には忘れた、それも峯幡も同じで。
二人は一緒に甘いものを食べたり他の遊びをしたり学校の中でテストがどうとか部活がどうとかの話もしてだった。
学園生活も送っていた、そして。
二人でまた街に出た時にだった、街にあったポスターのうちの一つを見てだった。
二人共あっ、となってお互いに言った。
「あの美人さんだよ」
「間違いないよ」
ポスターに映っている今売り出し中の若手人気俳優を見て言った、涼し気な整った顔立ちに形のいい頭はだった。
まさにあの美女だった、それで二人は言うのだった。
「木村信彦」
「この人だね」
「ああ、けれどな」
大門は言った。
「あの美人さん女の人だったな」
「そうだね、それは」
「ああ、多分ああしたお店に変装しないで入ったらな」
「噂になるからね」
「サングラスしてる位だと」
その程度ならというのだ。
「若しかしてって言われるしな」
「だったら徹底的に変装してね」
「女装してな」
そうしてというのだ。
「お店に入っているんだな」
「そうだね」
「見たらな」
大門はスマートフォンを出してそれで木村の情報を確認して話した。
「背もな」
「あれ位だね」
「ヒール履いてたけれど」
それでもというのだ。
「そのままでな」
「しかも甘いもの大好きってあるよ」
峯幡も自分のスマートフォンを出してそれで彼の情報を確認して応えた。
「じゃあね」
「間違いないな」
「そうだね、けれど女装までしないとお店に入られないなんて」
「売れっ子も大変だな」
「そうだね」
二人でこうした話をしてだった。
そのうえでこの日はラーメン屋に入って楽しんだ、この日は彼に出会うことはなかった。だがあの日のことは思い出したら二度と忘れられないものになったのだった。
ケーキを食べに入った美女 完
2022・8・23
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