チートゲーマーへの反抗〜虹と明星〜
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R2話 You【あなた】のためなら
前書き
ヤンデレが既に咲き匂うポムぅ……
ここは虹ヶ咲学園の校舎。
さて、そこにラフな格好で歩く背高の美男が1人———と、ここで何かイライラしている少女とぶつかってしまう。
「おっと…失礼。」
「あぁ…すみません。ちょっと考え事してたら——って、なにジロジロ見てるんですか?」
銀髪の男は、そのベージュ髪のひ弱そうな彼女を興味ありげに見回る———
「驚いた……まさか純粋な人間がまだ地上にいたとは——」
「純粋?ま、まぁかすみんは純粋無垢なカワイイ娘ですけど?」
「大多数の混血人間とは違い、本当の普通人間ってことさ。」
「誰が普通ですか!!——さっきから一体誰なんですかあなたは!!」
少し踏み込んだ発言をした男に怒り気味の少女。男は飄々とその名刺を差し出す。
「私はこういう者なのだが……少し協力してくれないか。」
「えっとなになに…『伊口ファウンデーション会長 伊口イフト』——って、伊口!?」
「私は情報処理学と経営学を教える予定なのだが——中須かすみ君、情報処理学科はどこか教えてくれな
「ヒィィィ!!ご、ごめんさーい!!!」
ビッグネームが出た途端に、今まで不遜な態度をとっていたことに恐怖した「かすみ」は一目散に逃げていってしまう。
「さてさて……困ったものだ——ネームプレートに書いている名前だけしか教えてくれないとは。」
イフトなる男は後ろ首を掻きながら、クラブ棟の階段付近までやってきてしまう。
「——アレは……」
〜〜〜〜〜
「全然見つかんない……」
「生徒数も部活も多いからね——同好会だけで100個以上あるらしいよ?」
「マジか……骨が折れるなぁ。」
嘆息を吐く侑。
虹ヶ咲学園は世界中から優秀な人材が集まる場所……この世界における普通とは、ヴァンパイアや妖精などの血を継ぐ混血人。
一般に考えられる非力な人間はほぼゼロに等しい——が、混血人に隔世遺伝が起こり、先祖の血が出てくることもあるそうだが。
そんな隔世遺伝の比率も多いのもニジガクの特徴である。
さて……侑は、次の尋ね人を見つける。
その人は——無表情そうなピンク髪の小さな娘。
「あの…すみません!」
「………?」
「スクールアイドル同好会ってどこにあるか知りません?」
「………」
「「—————?」」
尋ねた結果、彼女は黙ったままになる……当然、侑と歩夢は気を使ってしまう。
急ぎの人だったか——侑にその考えがよぎった……
次の瞬間……予想外の場所から衝撃走る。
ズドン!!
「「「!?!?」」」
重厚な音が大理石の床に響く……その震源は——伊口イフト、先の人である。
イフトは彼女ら……そのピンク髪の娘に向かって近づいて、尋ねる。
「君は情報処理学科の生徒だね?是非尋ねたいことがあるのだが……」
「………」
先ほどの質問に沈黙した彼女が、錯覚のような登場方法で現れたイフトの質問に答えられるわけもない——が、ここに救世主あらわる。
「どうしたりなりー?」
「あ、愛さん…!」
名前も無しに話すのも面倒なので紹介しておこう。りなりーと呼ばれたピンク髪の娘は「天王寺璃奈」。そして愛さんと呼ばれる金髪の彼女は「宮下愛」。
〜〜〜〜〜
「ほら、スクールアイドル同好会はここだよ。」
「すごーい!誰に聞いてもわからなかったのに…!」
「確か今年できた同好会だしね〜」
「ありがとう!助かったよ!」
「……」
素直に愛へ礼を言う侑。しかし歩夢は複雑な気持ちが表情に出てしまう……無論、誰も見ていないが。自分の手で解決したかったという身内意識のようなものに近いか。
さて、愛は次に聞いてきたイフトへの対応に移る。
「で……お兄さんは何の用ですか?」
「お兄さんか———私はこういう者だ。是非、情報処理学科の職員ルームへと案内してほしい。」
「えっと——えぇ!?!?」
愛が上げた声に、他の3人もその名刺に注目してみる———と、全員が驚きに包まれる。
侑が筆頭となる。
「伊口ファウンデーション会長 伊口イフト!?——って、あの!?」
「別に称号など関係なく、ラフに接してくれて結構。」
「じゃあ社長さんは愛さん達がそのまま案内するよ!」
「助かるよ。」
礼を言うイフト。
侑たちもそのままその場を去ろうとする……が、彼女の服の裾を掴む璃奈。
「ん?」
「……別に急いでない。ちょっと驚いただけ。」
「そっか、なら良かった♪」
「———好きなの?スクールアイドル。」
璃奈は淡々そうに侑に尋ねる。侑は笑顔でその質問に答える。
「うん!まぁ、まだハマったばかりだけどね。」
「あなたは…?」
「えっ…えっと——」
璃奈はさらに奥にいる歩夢へも尋ねる。突然振られた質問に、返しに詰まってしまう歩夢———なんとか答えを返す。
「ま、まだわかんないけど——」
「そっか……」
一応の納得を示す璃奈……一方で、その話を一方的に聞いていたイフトはその話題に興味を示す。
「スクールアイドルか——高咲くん、私はスクールアイドルについて支援も行っているのは知っているかい?」
「本当ですか?」
「あぁ。個人的ではあるが…連絡先を渡しておこう。」
「えぇ!?連絡先!?!?」
「もし困ったら……例えば、「同好会が廃部」という事態になったりとか、活動が妨害されているとか…ステージをどうするかとかね。」
「ちょっと具体的すぎません!?」
歩夢の可愛いツッコミが響く。
ちなみにではあるが……イフトが4階から1階まで吹き抜けをジャンプで着地したのは誰にも知られていない。
————※————
「ここが虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会…!」
「———本当に入るの?」
部室とされる扉までやってくる侑と歩夢。だが直前になって歩夢は躊躇ってしまう……色んな理由で。
「あの件は内緒にするんでしょ?だったら部活に入ればバレる危険も高まるんじゃ……」
「うーん———」
ゼロワンドライバーを見つめる侑。
あのマンモスマギアを倒したのち、1日は怪人は現れていない…その間に侑は何度も変身を試し、ゼロワンに変身することができている———が、やはり一人称が僕になるのは癖のように直らない。
それに体の柔軟性をはじめ、素の身体能力が向上しはじめていることも何となく感じている。
いずれ人間離れするかも……巻き込む可能性は高まる。
「でも……やっぱり——完全にトキメいちゃったから!!」
「もう!侑ちゃんたら…!」
結局侑の言うことを受け入れてしまう歩夢———全く誰に似たのか。
さて、心の準備を整えた侑はその扉を開けようとする……が。
「何をしているんですか?——普通科2年、高咲侑さん。上原歩夢さん。」
「「!!」」
後ろから掛けられる声に振り向くゆうぽむ。
そこにいたのは、藍色の髪を三つ編みにした眼鏡っ子。規律を重んじている者であるのがひしひしと伝わってくる容貌だ。
それにしても、名乗ってもいない人に覚えられていることに侑は不思議に思う。
「どうして私たちの名前を?」
「生徒会長たる者、全ての生徒の名前と顔を覚えているのは当然のことです。」
「「生徒会長!?」」
「中川菜々と申します。」
驚く2人……も、すぐに全校集会で面識のあると思い出す。菜々と称する彼女は部室へと足を進める。
「この同好会に用ですか?」
「はい!優木せつ菜ちゃんに会いたくって!!」
「……彼女は来ませんよ。」
「「え?」」
彼女の声のトーンが低くなる……彼女はひどく冷徹に見えるその眼差しで、2人を見返す。
「辞めたそうですよ?スクールアイドル。」
「そんな……昨日ライブを——!」
「彼女だけではありません。スクールアイドル同好会は——本日をもって、廃部となりました。」
部室のネームプレート……象徴的なそれは、回収されてしまった。
————※————
「早速あの社長さんに言われたことは実現しちゃったよ……」
「何か——わかってるみたいだったね。」
「うん……あれが天才社長って言われる所以なのかな?」
会えずじまいで学校の屋外ベンチへと座る侑と歩夢。落胆の色が見え隠れる侑を慰めのように、歩夢は話を続ける。
「残念だったね……」
「うん。」
「でも、虹ヶ咲の生徒ならいつか会えるんじゃ——!」
「いや……いいよ。辞めた理由もいろいろあるだろうしさ。何より———
グオオオオオオオ!!!
響く異形の声。
周り者たちは一斉に逃げ出していく……怪人現る。
「歩夢、行ってくる!!」
「侑ちゃん!」
侑はすぐさま髪を解き、その声の方へと向かっていく。歩夢は……無力であると分かっていても、ついていってしまう———プログラムされたかのように。
その2人に立ちはだかったのは……カメレオン形のステンドグラスの怪人——カメレオンファンガイアと言うべきか。
「確か……元は人間なんだよね———だったら、『僕』が戻す!!」
【JUMP!】
【Authorize!】
一人称の変化した侑はゼロワンドライバーにスキャン。プログライズキーの使用権限を得て、ベルトから巨大なバッタを顕現させる。
「変身!」
【プログライズ!】
【ライジングホッパー!!】
ゼロワンへと変身する———ファンガイアはその変身に興味を示さずに、逃げ遅れた人を見つめていた。
そして……
「うわぁぁぁぁ……うっ。」
「!!———人が…ガラスみたいに。」
2本の矢のようなものに刺された人は生命エネルギーを吸われ、跡形もなく消えてしまう……これ以上好き勝手させるわけにはいかない。
ゼロワンはすぐさまファンガイアに飛び蹴りを喰らわせる。
少し怯むファンガイアであったが、反撃として胸部に一発パンチを入れる。
「うっ…やっぱりキックは隙が大きいのか——」
「———!」
「えっ!?」
カメレオンファンガイア……その姿は突如として視界から消える。
戸惑うゼロワン。その背後から不可視の一撃、さらにもう一撃。離れていた歩夢の方まで転がってくる。
「侑ちゃん!大丈夫!?」
「ちょっと痛いけど……てか、もっと離れてないと危ないよ!!」
「う、うん……!」
歩夢がその場を離れようとする……だが、弱い者を狙わない手はない。
歩夢の左手が何かに引っ張られる。
「きゃっ!!」
「歩夢!!———ん?」
突如、歩夢の背後が光る。
すると今まで不可視であったファンガイアの体が炙り出されるように、顕現する———ゼロワンはすかさず右横蹴りで歩夢の手から離れさせる。
「歩夢!?大丈夫!?」
「う、うん……」
「早く逃げて「侑!!」——って、イフトさん!?」
突如名前を呼ばれたことに反応するゼロワン……その呼ぶ人物はイフト——彼は一方の、イエローのメッシュが入ったアタッシュケースをゼロワンに投げる。
「これは…?」
「アタッシュカリバー。プログライズキーの属性を引き出せるアタッシュケースを模した剣だ。私の傑作の1つでもある———これも使うといい。」
「これは……」
イフトはもう一方のアタッシュケースに入ったプログライズキーのコレクションから、Blizzardと描かれたシロクマのプログライズキーをゼロワンに差し出す。
その2つを受け取って、戦線へと復帰する。
「これは……こうかな?」
【ブレードライズ!】
刃を展開したアタッシュカリバー……ゼロワンはプログライズキーを起動して、アタッシュカリバーにセットする。
【ブリザード!】
【Progrise key confirmed. Ready to utilize】
【Polar bear’s Ability!】
「おぉ…冷たい……いくよ!!」
【フリージングカバンスラッシュ!】
強烈な冷気を発するその剣を地面に突き刺す……すると、辺り一帯の地面が氷結———それによって透明になっていたカメレオンファンガイアも炙り出されてしまう。
そればかりか、氷結したことで身動きもままならない。
イフトは叫ぶ。
「今だ!トドメをさせ!」
「了解!社長!」
ゼロワンはアタッシュカリバーをアタッシュモードに戻したのち、再度ブレードモードへと切り替える———再び氷結の力がチャージされる。
【フリージングカバンダイナミック!】
「はぁっ!!」
氷のオーラ溢れる巨大な刀でカメレオンファンガイアを一閃……身体が氷結したのち、怪人は爆散する。
その姿は元の人間へと戻る。
それを見届けたゼロワンは変身を解除しようとする……が、ここで多数の足音がその場を賑々しくする。
不思議に思っていると、その場にアリのような覆面を被ったトルーパーたちが続々と姿を表す———まもなく彼らはゼロワンに銃口を向ける。
「構えろ!」
「えっ…?」
「君を連行する!速やかに変身を解除しろ!」
「ちょ、僕悪いことしてませんって——ん!?」
「!?!?!?」
突如天上を照らす黄金の光……全ての者が目を覆う。
次の瞬間現れたのは———黄金に輝く、無敵の権化。
星のように伸びるツノと、黄金の長髪のドレッドは神聖さを感じさせる。
当然、謎のトルーパーたちは銃口を向ける。
「何者だ!?」
「———お前らに用はない。」
「!?」
【Hyper Time!】
捻じ曲がる……全て。
瞬きをした次の瞬間———蟻型のトルーパーは姿を消し、黄金の戦士のみがゼロワンの前に立ちはだかる。
……峻厳なトーンで言葉を放つ。
「全く、あの程度の怪人に手間取るとは……お前も随分丸くなった———転生したことで性別も変わってしまったのもその原因か。」
「あなたは……誰なんです?」
ゼロワンに尋ねられたので、自信満々にその名を明かす。
「仮面ライダーエグゼイド……人が成し遂げられない『究極の救済』を行う者———とでも言うべきか。」
「エグゼイド……」
「ゼロワン———高咲侑。お前の愚直さはいずれ厄災をもたらす……が、今は興味ないなぁ。」
「厄災って…どういうこと!?」
「こういうことだ。」
光の速さ……そんなものとうに超えていそうなスピード。それこそ瞬きのうちに、背後の背後———歩夢のもとへと到達していた。
近くにいたイフトは既に払われていて、非力な歩夢と対峙する構図になっていた。
歩夢の首が…圧力に襲われる。
「探したぜ……ヤンデレ女さんよぉ。」ガシッ
「うっ………だれ…かと……勘違い——してるんですか?」
「いや?してねぇと思うぜ——お前がアユムならなぁ。」
「ぐうっ———」
「やめろぉぉぉぉ!!!!」
怒りの声……それは歩夢の
雷鳴の如き声と共に、ゼロワンは左足で横蹴りを放つ———しかし。
「遅い。」
「えっ…?」
「オラ。」
「うわぁぁぁ!!」
手応えがない……いや蹴りが当たる感触すらしないままに、恐るべきカウンターパンチがゼロワンの胸部へと直撃する。その一撃は装甲を一発で破壊する———木っ端微塵に、無惨にも。
「物理的に」強制変身解除された侑は、その衝撃を相殺できずに転げる。
そんな侑に興味を持ち、歩夢を優しく離してのちに、近づく。
「うっ……」
「その程度の力で人を守るなど笑止千万——いや、そもそも目的もなく戦う者に勝ち目などないか。」
「目的…?」
「守るべきモノを守らずして何が仮面ライダーだ——ましてやお前らの罪は重いというのに……」
「罪…?何のこと……?」
「お前は『離れて。』——あ?」
立ち上がる……歩夢。
普通の平和ボケした人間ならば気づかないだろうが———この場にいる者はすぐに察知できた。歩夢の立つ周辺の温度が極端に低い……まるで恒温動物の周りに大蛇が一匹潜んでいるかのように。
言う。
「侑ちゃんから今すぐ離れて。」
「……俺は何者にも縛られん。お前の言うことを聞く義務はないが。」
「じゃあ——私はあなたの事……呪います。絶対絶対絶対……呪い殺す。」
「ほう……!」
二者の圧倒的なプレッシャー……もし周りに人がいれば威圧に卒倒していたに違いない。某漫画で例えるならば、強者のオーラといったところか。
そんな時間が数秒流れて……その沈黙が破られる。
「ったく…白けるぜ。」
「————」
歩夢は未だに呪いを掛けんばかりの重い目線を浴びせ続ける……が、視線を侑に変える。
「ま、せいぜい俺のサンドバッグとして鍛えておけ…侑。」
ピカッと閃光の如く一瞬の間であった……
「えっ……消えた!?」
一瞬の幻のようにその姿は消えていた。
————※————
「まさか社長さんがこのドライバーのこと知ってたなんて……」
「あぁ。ゼロワンドライバーは私が復元したものだ———紛失したそれを君が手にしたという情報を手に入れてね…虹ヶ咲学園に顔を出したのもそのためさ。」
「そういうことだったんですか———」
暗くなる道中で侑と歩夢は納得する。
続けてイフトはあの件について、話を拡大させていく。
「それで…スクールアイドル同好会は?」
「廃部になったって生徒会長が———」
「そうか——やはり…か。」
侑が話したことをまるで推察していたような口ぶりに対して、歩夢は疑問を感じる。
「どういうことですか?」
「スクールアイドル———謎の怪人たちが頻繁に会場に現れ、人が襲われている。仮面ライダーとはその怪人を倒すため蘇ったテクノロジーだ。」
「何で怪人たちはスクールアイドルを……」
「さぁ。たまたまかもしれない——だが、私はそれでもスクールアイドルは存在するべきだと思っている。」
「どうしてそこまで……?」
歩夢はイフトに聞く……彼は自信ありげな笑みでこう答える。
「自分の好きなことを追求できる場所……それがスクールアイドルの根っこだ——自分を曝け出せる場所を応援しない手はないだろう?」
「「————」」
「おっと……少し時間も押している———また、学校で会おうじゃないか。」
イフトはそう言い残して別の道へと歩き去っていく。
歩夢と侑……生まれてからずっと一緒にいるこの2人が再び歩き始める。ただ——違うモノがある。
「明日は数学のテスト……って歩夢?」
「侑ちゃん——」
足を止める歩夢……ちょうど大きな階段が2人を交差するように。
何気ない世界に見える神秘的な光景——歩夢は口を動かす。
「2人で……2人で始めよう?」
「歩夢———」
「私ね……動画、見たんだ———せつ菜ちゃんだけじゃなく。侑ちゃんが思ったみたいに、私も凄いって思った!!あんなに自分を曝け出して、ダイスキを伝えられるなんて……!私もあんな風になれたら何て素敵だろうって……^_^!」
想い溢れる歩夢……想いをただひたすらに伝える——自分の半身に。
「困難は多いかもしれない……でも——あなたが私を守ってくれるなら!」
「!」
歩夢は侑のゼロワンドライバーを取り出して、それを彼女の胸に当てる。
「これは運命……ようやく分かったの。この力はあなたが夢を守るためにあるんだって——私は…あなたの側で……虹を掛けたい!!」
「…!」
「私!スクールアイドル……やってみたい!!!」
叫ぶ想い——好きな気持ちを抑え込むなど……できないのだ。
ただ1人ではできないかもしれない。しかし2人であれば…………
「だから……私と夢を見てくれる?」
彼女が手を差し出す……
何処かで見たような光景———一度だけとは思えない。彼女の優しく、温かいその手……
侑は握った。
「もちろん!——私はいつでも歩夢の側にいるよ?」
「///………うん!」
運命を謳う歌が……始まる。
Dream with You(歌:上原歩夢)
〜〜〜〜〜
太陽よ……あなたは天から堕ちてしまった。
下ではさらなる悲劇は待ち構えていることだろう。
しかし絶望してはいけない。同時に希望にぬか喜びしてはいけない。
自由に生きることを諦めてはいけない。好きに生きることを諦めてはならない。
上にあるかの如く下にあれ———
「自由への意志など止めることはできない……何が起ころうとも。」
俺は笑った。
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