少女は 見えない糸だけをたよりに
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最終章
4月になって、いよいよだってなった時、巧が
「マンション決めたけどな、クリーニングに1週間ほどかかるってんで、移るのは、連休前の4月の末になるんだ だから、式の1週間後になる」
「えぇー じゃぁ 式が終わっても、直ぐに住めないのー」
「ウン どーする 狭いけど 今のところに来るか?」
「別にいいけどー どーすっかなぁー せっかくなのに同棲みたいね 本籍はどうすんの?」
「それは、新しいマンションで・・ 入籍日は式の日で届けるか?」
「うん 神様の前で誓うんだからね」
そんなことを話していて、結局、私は新しいマンションに引っ越しを終えた後に、一緒に住むことにした。出町柳から2ツ先の駅で、そこからなら、私もお店に自転車で行けるし、巧だって仕事先まで、自転車でも通えるし、電車を使っても駅から歩いても行けるって言っていた。
式の当日、朝早くから私は着付けとかで神宮に向かった。そして、白無垢を着させてもらって、先に写真撮影があって、その時、巌さん夫妻が来てくれていた。お父さんが呼んでくれたに違いない。神前での式の時も、巌さん夫婦を上座に座らせてくれて、お父さんは気を使っていてくれた。それに、巌さんは、私のお父さんとお母さんが映っている写真を掲げて、おばさんはバクの元気な頃の写真を・・。私は、それを見たとき、涙が出てきたんだけど、お母さんは、横からハンカチを渡してくれていた。
その後、色打掛に着替えて、もう一度、お庭で集合写真だけを撮って、神宮会館では、多人数の飲食は出来ないとのことで、帯屋の家でお料理を取り寄せて行うことになっていた。巧の家族はお母さんとお兄さん夫婦、そして、二人の子供が来てくれていた。
私達二人は、遅れて家に戻ったんだけど、もう、祝宴は始まっていて、座敷の襖を開けて、私も初めて見たような二間続きの大きなお座敷。
「香波ちゃん きれいだったよ おばぁさんは居なかったけど きっと よろこんでいるよ」と、巌さんが最初に、声を掛けてくれた。
「巌さん ありがとうね 写真持ってきてくれて・・」私、又、涙が止まらなくて・・。
「今日は、皆さん ありがとうございます 二人のために・・ 晴れて、夫婦になりました」と、巧が挨拶をして、その後も、祝宴が続いていた。
巧の家族は、近くのホテルに宿を取っているとかで、巌さん夫婦はウチに泊まっていった。そして、1週間後、私たちの引っ越しの日。
「お父さん、お母さん、お姉ちゃん 本当の娘のように可愛がっていただいて、ありがとうございました。私、今まで以上に 幸せになります」
「香波 なに言っとんじゃ 本当の娘だろー これからも変わらん」と、言ったきり、お父さんは奥に引っ込んでしまった。私は、頭を下げ続けていた。
そして、お父さんが無理やり電気屋さんに言って、電気製品とかお布団を積んだトラックをわざわざ家の前まで来させて、紅白の垂れ幕を張らせて、新居に向かわせていたのだ。
私達二人の荷物は、そんなに無かった。お昼過ぎには引っ越しを終えて、市役所に婚姻届けを出しに行って、夕食は二人だけで、晴れて、祝杯をあげていた。
「香波 喧嘩しないように 仲良くやっていこうな」
「ウン なんでも、話合おうね みんな 新婚の時はそんな気持ちなんだろうけどね あのね 私 エッチなんだけど 喧嘩したときは 無理やりに犯してでも アレしてね 仲直りするから・・」
「ふーっ わかったよ 無理やりにでもな そんな風に、香波がなるって思ってなかったよ」
「もうー だって 巧のせいよー こんな風にしたのー」
と、私は、お風呂に入って、お姉ちゃんが一応、初めての夜なんだから、こういうの着なさいと渡された、白いレースとかで飾られた透けたナイトウェァーを着て、巧に抱き着いていった。
「しあわせにしてよー でないと、バクも許してくんないよ 私 一生 ついていくからね」
END
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