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夢幻水滸伝

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第二百四十八話 石と共にその九

「ですがこのこともです」
「知らなかったですか」
「そうでした、これは武道家の心得ですね」
「武道は暴力ではないですね」
「これは暴力なので」
 王もこのことを理解している、それで今言うのだ。
「僕はしません、しかしこうしたこともです」
「はじめてですね」
「知ることです、そして政も」
「同じですね」
「そのことを実感しています」
 こう女に答えた。
「まことに」
「ではこれからは」
「はい、安徽省を統一して」
 今度は闘技場の親父に答えた、四人で卓を囲む茶を飲み菓子を食べつつ話をしている。そうしながら話しているのだ。
「民をより豊かに安全にです」
「治めていかれますか」
「そうします、ただ」
 ここで王はこうも言った。
「統一して治めるまでは考えていますが」
「それでもですか」
「そこから先はです」
 どうにもと言うのだった。
「考えられません」
「勢力拡大等は」
「どうしても」
 親父に難しい顔で答えた。
「考えられないです」
「では安徽省を統一して」
「治めて」
 そうしてというのだ。
「僕はそこが限界かと」
「そうですか」
「これはやってみないとわからないのではなく」
「器ですか」
「僕以上に器が大きい方もいますし」
 星の者でというのだ。
「今後はそうした人とです」
「共にですか」
「やっていくべきかと」
「お考えですか」
「そちらは考えられます」 
 こう述べた。
「僕としては」
「そうですか」
「はい、ですが自分の想像以上に政が出来ているので」 
 街や村に送る使者の人選もだ、彼は何処に誰を送れば降してくれるのかも的確に見抜いているのだ。
「自信は出来ました」
「それは何よりですね」
「ただ慢心はですね」
「それはお気を付けを」
 親父もこう返した。
「自信があることはいいですが」
「過信はよくないですね」
「自分の実力を知ることも」
 このこともというのだ。
「大事ですね」
「その通りですね」
「ですから自信をつけられても」
「過信には至らない」
「それも大事かと」
「そうですね」
「そして」 
 それにと言うのだった。
「慢心はさらにです」
「よくないですね」
「それになるとです」 
「失敗しますね」
「そのもとですから」
 だからだというのだ。
「お気をつけを」
「そうしていきます」
 王は肝に銘じつつ答えた。 
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