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レーヴァティン

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第二百五十五話 ヴェネツィアでの再会その三

 出されたメニューを見て智は笑って言った。
「パスタにピザとは」
「実にいいですね」
「そうでござるな」
 良太に笑顔で応えた。
「東の浮島にはないものなので」
「全くです、ワインもです」
「こちらはあるでござるが」
「こうしてグラスで飲むことはないですから」
「そうごでざるな」
「異国情緒を味わえる」
「いいことでござるな」
「全く以て」
「それはこちらから見ればだ」
 正が笑顔の二人に話した。
「逆だ」
「東の浮島に行けばでござるな」
「俺達が異国情緒を味わう」
「そうなるでござるな」
「そうだ」 
 こう智に話した。
「刺身や寿司にだ」
「日本酒を飲み」
「そうなる、こちらの世界では和食が食えずな」
 西の浮島にいてはというのだ。
「中々だ」
「困ったでござるか」
「そうだった」
「そうでござったか」
「醤油がだ」
 この調味料を使った料理がというのだ。
「ないのがな」
「困ったでござるか」
「そうだった」
「そうでござるか」
「起きた世界では日本で生まれ育ってきた」
 そうであるならというのだ。
「やはりな」
「お醤油でござるか」
「そして味噌だ」
 親しみのある調味料はというのだ。
「馴染みがあるのはな」
「美味しくても一番親しんでいないんだよね」
 剛も言ってきた。
「馴染んでいないから」
「どうしてもだな」
 幸正が応えた。
「困る時があるな」
「うん、ただこっちの浮島胡椒は充分にあるからね」
 この香辛料はというのだ。
「南の方で採れてね」
「肉料理が多くてもか」
「よかったよ」
「肉は胡椒がないとな」
「味が全然違うんだよね」 
 剛は笑顔で話した。
「そうだからね」
「少なくとも香辛料がないとな」
「お肉は味が違うよ」
 香辛料と使う場合と使わない場合でというのだ。
「本当にね」
「そうだな」
「だからそのことはね」
「よかったか」
「一度胡椒を使っていないお肉食べたけれど」
 剛は幸正に話した。
「お塩もないね」
「それで焼いただけか」
「うん、そうだったけれど」
「まずかったか」
「匂いもきつくてね」
 このこともあってというのだ。
「猪のお肉だってけれど」
「やはり胡椒がないとか」
「お肉はよくないね、ましてね」
「塩もないとか」
「尚更だよ、けれどこの浮島は胡椒もあって」
 そうしてというのだ。 
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