八条学園騒動記
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第六百六十四話 連合軍への考えその十二
「やはり人は少なくな」
「出来ることはですね」
「限られておった」
「そうだったんですね」
「うむ」
「それは考えませんでした」
「当時じゃ」
博士はさらに話した。
「欧州で一番人口が多かったのは神聖ローマ帝国であった」
「今のドイツですね」
「その前身の国じゃ」
「そうでしたね」
「その国で千六百万じゃ」
人口はというのだ。
「他の国はじゃ」
「もっと少なかったですね」
「そうであった」
「スペインも」
「あの国は大国であったがな」
それでもというのだ。
「やはりな」
「人口は少なくて」
「それでじゃ」
「悪事を働いていても」
「限られておった」
「人が少なくて」
「これで人が多いとな」
それならというのだ。
「悪事も多い、尚わしはあの頃のスペインともじゃ」
「揉めてたんですね」
「植民地の方でな」
中南米等でというのだ。
「暴挙を働く連中をじゃ」
「殺してたんですね」
「生体実験にも使っておった」
「やっぱりそうですか」
「連中は人を殺すことは平気でもな」
異教徒とみなせばだ。
「自分が殺されるとなるとな」
「泣き叫んで、ですか」
「助けてくれとな」
その様にというのだ。
「頼み込んできた」
「それで、ですね」
「わしはその声を聞きながらな」
そうしつつというのだ。
「殺した」
「そこが博士ですね」
「わかるのう」
「ここに来て五年ですから」
「それでじゃな」
「わかる様になりました」
そうだというのだ。
「僕も」
「そうであるな、そしてな」
「そして?」
「欧州ではそうしておって他の国でもな」
「同じですか」
「張献忠も酷かった」
この者もというのだ。
「さっき明の名が出たが」
「その末期の戦乱の頃の群雄ですね」
「やたらと残虐であった」
「そうでしたか」
「しかしじゃ」
ここで博士はこうも言った。
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