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レーヴァティン

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第二百五十四話 両者の再会その十三

「明治の政治家で特に嫌われちょったが」
「それでもだったな」
「文句は言わなかったぜよ」
 事実無根のことを書かれてもだ。
「それこそ悪の権化みたいに言われちょったが」
「それでもな」
「自分の評判は気にせんで」
 国内のマスコミのそれはというのだ。
「井上さんと同じでぜよ」
「海外での日本の評判を気にしていたな」
「どう思われているか」
 国外で日本がだ。
「それがぜよ」
「懸念材料でな」
「自分が国内のマスコミにどれだけ書かれても」
「気にせずな」
「放っておいたぜよ」
「そうだな、俺も基本はそうだが」
 しかしと言うのだった。
「だがな」
「事実無根のじゃな」
「誹謗中傷はな」
「取り締まっちょるのう」
「そうしている」
「そうじゃのう」
「言論の自由は当然だ」
 守らなくてはいけないものだというのだ。
「しかしな」
「イエロージャーナリズムはのう」
「違う、両者は違う」
 英雄は言い切った。
「悪意あり嘘を書いてだ」
「相手を貶めるならのう」
「もうこれは犯罪だ」
 そうなるというのだ。
「下手をすれば人殺し以上にだ」
「罪が重いのう」
「そう考えているからな」
 それ故にというのだ。
「俺にしてもだ」
「取り締まっちょるのう」
「そうしている」
「まあそれはな」
「当然だな」
「明治の頃はその区分が出来ておらんかったぜよ」
 言論の自由とイエロージャーナリズムのそれがだ。
「まあ最近までものう」
「出来ていなかったな」
「我が国でも他の国でものう」
「嘘を書いて言ってもだ」
 新聞や雑誌、テレビでだ。
「一切だ」
「処罰されんかった」
「責任も問われなかった」
「そうじゃったのう」
「だからやりたい放題になってな」
 そうしてというのだ。
「その結果だ」
「腐ったままだったぜよ」
「害毒を垂れ流し続けたからな」
「イエロージャーナリズムは取り締まるのう」
「そうしていく」
「この世界では」
「その様にしていく」
 こう言ってだった。 
 英雄はまた空を見た、青い空は何処までも続いていた、だが西の浮島には確実に近付いていっていることは彼もわかっていた。


第二百五十四話   完


                   2022・4・15 
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