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少女は 見えない糸だけをたよりに

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11-6

 8月の初め暁美さんが男の子を出産したので、退院する前に、お姉ちゃんと私はお祝いに出かけた。

「暁美ちゃん おめでとう 元気そうね」

「ありがとうございます 香波ちゃんもね」

「どう 名前決まったの?」

「それがね 聞いてよー 店長 あの人 まだ 迷っているのよ ほんと 決断悪いんだからー」

「そう まぁね 初めてなんだから いろいろとあるのよ 多分 それで、暁美ちゃんのご両親には、連絡したんでしょ?」

「ええ まだ、見に来てくれていないんだけど、ようやく、結婚 認めてくれそう」

「そう 良かったね 初孫なんでしょ」

「そうなんだ 退院したら、お母さんが来てくれるって いろいろ必要なもの出てくるだろうからって やっと、私 あの人のお嫁さんになれたんだって 感じているの だから、嬉しくって」

「良かったね 暁美ちゃんも母親なんだものね」

「うーん だけどね すぐに、私が働かないと 経済的に苦しいんだ 向こうのお母さんが援助するからって、言ってくれてるけど、そうもいかないしね」

「だって 赤ちゃんどうすんのよ」

「うーん そこは、助けてもらわないとね 小さいうちから、保育園ってわけにもいかないしねー」

「たいへんだね 母親って あのさー 働くの 相談に乗るからね 落ち着いたら、どれぐらい時間取れるのか 教えてちょうだいね」

「ありがとうございます 店長」

 病院を出て、歩いているとき、お姉ちゃんが

「香波 私 やっぱり2号店 進めるわ 暁美ちゃんにやってもらう あの子がどれだけ働けるんかだけど」

「えー そーなんですか だけど 今は 客足も落ちているし・・」

「大学の傍だからよ もっと 人が多い所 考えているの テイクアウト専門なら、そんなに大きいお店 要らないしね やってみないと、わからないわよ 飲食店への入店が規制されたら、それまでの人はどこで食べるのよ チャンスかもね」

「うーん よく わからないけど チャンスなんかなー」  
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