彼氏が出来ない理由
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二章
「いいわね」
「ファッションセンスを?」
「そうよ、最低よ」
「そんなに酷いかしら」
「ええ、ファッション雑誌読んで」
その様にしてというのだ。
「いいわね」
「勉強しろっていうのね」
「そう、それじゃあその外見と女子力で困った人を見捨てなくても」
そうした美点を揃えていてもというのだ。
「彼氏さんなんてね」
「出来ない?」
「そうよ、じゃあいいわね」
「彼氏作りたかったら」
「ファッションよ」
それだというのだ。
「そこを何とかしなさい」
「そうしたらなの」
「絶対に出来るわよ、私も出来たし」
「えっ、そうなの」
「速水君とね」
「二組の」
「そうよ、だからいいわね」
「私もなのね」
「そうよ、ファッションをね」
それをというのだ。
「磨きなさい、いいわね」
「今のファッションを変えるべきね」
「そうよ、いいわね」
「そこまで言うなら」
それならとだ、智花も頷いてだった。
そうしてファッション雑誌を買ってだった。
勉強して普通の服にするとだった。
「いやあ、びっくりしたわ」
「今あんた一つ上の矢野さんと付き合ってるでしょ」
「剣道部のね」
「そうよね」
「素敵な人よ」
智花はのろけも見せた。
「本当にね、ただね」
「ただっていうと?」
「私がもてなかったのはファッションのせいだったのね」
「そうよ、幾ら外見や女子力が高くて性格が悪くなくても」
それでもというのだ。
「外出でジャージとか下着が褌の女の子なんてね」
「もてないのね」
「そうよ、幾ら何でもね」
そうしたファッションはというのだ。
「ないから」
「いいと思っていたけれど」
「少なくとも今の流行じゃないわよ」
「流行も大事なのね」
「もてないならね」
こう智花に言うのだった、以後智花は少なくとも普通のファッションでいる様になった。そうしてその相手とも楽しい時間を過ごした。全ては服装からだった。
彼氏が出来ない理由 完
2022・6・19
ページ上へ戻る