| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二百四十八話 港と港からその十二

「新聞や雑誌の比ではない」
「そうよね」
「ナチスは映画を利用したが」
 ゲッペルスが国家事業として力を入れた、そうしてナチスの宣伝を国家予算を投じてしきりに行ったのだ。
「テレビはな」
「常にお家で観られるので」
「テレビが普及している社会ならだ」
「今の日本はまずどの家庭にもあります」
「一つはな」
「そうですね」
「なくても買おうと思えば」
 そう思えばというのだ。
「ちょっと金を出せばだ」
「買えますね」
「そしてテレビを点けるとな」
「何時でも観られるので」
「その影響力はな」
「映画の比ではないですね」
「そのうえでテレビの言うことを鵜呑みにするなら」
 それならばというのだ。
「非常に危険だ」
「雑誌や新聞よりも」
「耳からしか入らないラジオよりもな」
「そして映画館に足を運ばないと観られない映画よりも」
「遥かにだ」
「危険なものですね」
「キャスターやコメンテーターが適当なことを言ってだ」 
 そうしてというのだ。
「煽ったり嘘を吹聴すればな」
「視聴者は目と耳から直接頭に入れるので」
「その煽動や工作の影響は他の媒体の比でなくだ」
「影響が及び」
「動く、まさに多くの者がだ」
 新聞や雑誌、ラジオや映画を目や耳にするよりもというのだ。
「影響されその影響の度合いもだ」
「強いですね」
「イエロージャーナリズムであってもな」
 今話しているそれでもというのだ。
「誰もが事実を確かめずに鵜呑みにする」
「まして昔はテレビや新聞は嘘を言わないと思われていましたね」
「ジャーナリストは嘘を言わないし書かない」 
 そこにはキャスターやコメンテーターも入る。
「そうした神話がまかり通っていた」
「そうでしたね」
「昔の漫画でもであります」
 峰夫が言ってきた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧