ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
SAO編ーアインクラッド編ー
09.光剣と二刀流
前書き
第9話投稿!!!
仲間のピンチについに現れる2つ目のユニークスキル!!
二〇二四年十月十八日 第七十四層・迷宮区
「おりゃぁぁぁ!!!」
七十四層迷宮区のモンスター、デモニッシュ・サーバント。長剣とバックラーを持つ骸骨の剣士のモンスター。
槍三連突進技《トリシューラ》
最後の突進が直撃とともに骸骨剣士は光の欠片となりその姿を消滅させる。
「まだ、ボスの部屋につかないのかよ」
この層の迷宮区潜って二日目。しかしまだ、ボスの部屋にまだ誰も到達することが出来ていない。それもそのはず、この層になってから急にフィールドモンスターの強さが上がった様な気がする。
「あれ、シュウじゃねぇか」
振り返るとそこには、赤いバンダナと武士の甲冑がトレードマークのクラインとそのギルド《風林火山》の姿が。
「また、お前たちかよ」
「またって何だよ!!」
この前の俺が《手刀術》を使った時もたまたま、こいつらと会って、ボスと戦って倒した、という感じだった。
「あの時、みたいなことはやめてくれよ」
「あれはたまたまだろ!......ってそうだ!」
クラインが何かを思い出す。
「あの時のスキルのこと、まだ説明してもらってねぇぞ!」
「.......そうだったか?」
と言うや否や俺はフィールドを全力疾走する。
「待て!逃げるな、シュウ!」
「やだね!説明するのが面倒なんだよ!」
そこから俺VS風林火山のフィールドモンスターを倒しながらの鬼ごっこが開始されたのだった。
「はぁ、はぁ、はぁ、お前ら......しつこすぎだろ......」
「はぁ、はぁ、はぁ、テメェ!.......逃げんじゃねぇよ!」
両方息が切れた完全に状態で迷宮区を歩いていると石の前で座る黒衣の剣士が見える。
「おう!キリト、しばらくだな!」
クラインがキリトに近づく。
「まだ生きてたか、クライン」
「相変わらず、哀訴のねぇ野郎だ。ん.....なんだよ。ソロのお前が女ずれって......どういうことなん....だ」
クラインが隣にいた女性を見ると言葉が止まる。
それもそのはずだ。キリトの隣にいるプレーヤー......血盟騎士団副団長の《閃光》のアスナだからだ。
「あっ、これは......ボス戦で顔を合わせてるだろうけど一応紹介するよ。こっちはギルド風林火山のクライン。こっちは血盟騎士団のアスナだ」
キリトが二人の紹介をする。
「おい、何とか言え、バグってんのか?」
キリトがクラインの顔の前で手を振るが反応がない。
「こっ、こんにちわ。クライン、二十四歳、独身。恋人募集中.....うぐっ!」
前方からキリトの鳩尾パンチ、後方から俺が頭をどついた。
「「「「「リーダー!!」」」」」
風林火山のメンバーがキリト、アスナ、俺を囲む。
「「「「「あっ、アスナさんだ!!」」」」」
風林火山のメンバーがアスナに近づいていく。
「まぁ、悪い連中じゃないから。リーダーの顔はともかく.....」
「そう、リーダーの顔はともかく.......」
その時、足に強烈な痛みが。
「お返しだ」
クラインが俺とキリトの足を踏んだのだ。そして、急にアスナが笑い出す。
「どいういことだよ。キリト」
「あぁ、その〜」
回答に迷うキリト。
「こんにちわ。しばらくこの人とパーティー組むのでよろしく」
アスナが笑顔で俺たちを見て言う。
「キリト、テメェ!」
「ま、待てって!」
キリトが慌てていると遠くの方から甲冑が歩くような音がする。
「あっ!キリト君!」
向こうの方に同じ甲冑を着た十数人の男たちが歩いてくる。
「あれは軍の奴らか?」
「第一層を支配している巨大ギルドがなぜここに?」
「二十五層攻略で大きな被害が出てからクリアよりも組織強化って感じで前線には来なくなってたけど」
「休めぇ!!」
軍のリーダーと思われる男の掛け声で後ろを歩いていた十数人の男たちが崩れるように倒れ、リーダーと思われる男がこちらに歩いてくる。
「わたしはアインクラッド解放軍、コーバッツ中佐だ」
「キリト、ソロだ」
「君らはこの先も攻略しているんだな」
「ああ、ボス部屋の前までは、マッピングしたある」
「ふむでは、そのマッピングデータを提供してもらいたい」
(このおっさんは何を言ってるんだ)
「ただで提供しろってことねぇだろ!テメェ!マッピングする苦労がわかって言ってんのか!?」
クラインが声をあげる。
「我々は一般プレーヤーに情報や資源を平等に提供し、秩序を維持するとともに一刻も早くこの世界からプレーヤー全員を解放するために戦ってるんだ!!故の諸君が我々に協力するのは当然の義務である!!」
コーバッツがわけもわからないことを言っている。
「あなたね!」
「テメェ!」
「よせ!どうせ街についたら公開するつもりだったし、構わないさ」
キリトがマッピングデータをコーバッツに渡すためメニューウインドウを開く。
「おいおい、キリト!それは人が良すぎるぜ」
「マップデータで商売する気はないよ」
「うむ、協力感謝する」
コーバッツはデータだけもらうと座り込む軍のもとへ再び歩いて行く。
「ボスにちょっかいだすならやめといた方がいいぜ!」
「それは、わたしが判断する」
「さっきボスの部屋を覗いてきたけど生半可な人数でどうこうなるレベルじゃない!!仲間も消耗してるみたいじゃないか!?」
キリトがここまで声をあげるということは、相当なボスだったのだろう。
「わたしの部下たちはこの程度で根をあげる軟弱ものではない!!貴様らさっさと立てぇ!!」
座りこんでいた軍の者たちは、最後の力を振り絞るように立ち上がり重い足取りでコーバッツに着いて行く。
「大丈夫なのかよ。あの連中」
「いくら何でも、ぶっつけでボスに挑んだりはしないと思うけど」
「さすがに行かないだろ」
「一応様子だけども見に行ってみるか」
互いに顔を合わせる。言葉を交わさずとも皆が行くと行くということがわかった。
「どっちがお人好しなんだか」
俺たちは軍の奴らを追うようにボスの部屋を目指した。
「.......キリト」
「わかってる、シュウ。あれを使う時かもしれないな」
(やはり、嫌な予感がする)
「この先はもうボスの部屋だけなんだろ?ひょっとしてもう、アイテムで帰ちまったんじゃね?」
軍の連中の姿も見えず、俺たちも帰ろうとすると俺の予感は的中してしまった。
「うわぁぁぁぁ!!」
男の叫び声!
「アスナ、シュウ!」
「うん!」
「あいつら!」
俺たちはボスの部屋に向け走る。
(間に合ってくれよ!!)
ボスの部屋の前まで着くと、ボスの部屋の扉が開いている。
「おい、大丈夫か!?」
部屋の中には絶望の様な光景が広がっていた。壊滅寸前の軍、それを今にも襲おうとする青色の巨大な身体、巨大な大剣を持つ羊の顔の悪魔のようなモンスター、《The Gleameyes》。
「何してる!!早く転移結晶を使え!!」
「ダメだ!結晶が使えない!!」
「今までボスの部屋にそんなトラップなかったのに」
(いや、あった。ただ、情報屋に出回ってないだけであったんだ。結晶無効かエリアのボス部屋が!!)
「我々解放軍に撤退の二文字はありえない!!戦え!!戦うんだ!!」
(コーバッツがバカなことを!!)
「.....馬鹿野郎」
「どうなってるんだ!」
遅れてクラインが現れる。
「ここでは、転移結晶が使えない。六十二層と同じだ!!俺たちが切り込めば退路は開けるだろう.......けど」
「何とか出来ないのかよ」
(また、このエリアで命が消えるところを見るのか!?)
「全員、突撃!!!」
軍の連中がグリームアイズに突撃する。
「やめろ!!」
グリームアイズのブレス、大剣のソードスキルが軍を再び、襲う。
空中を浮かぶ、軍の一人。そいつは俺たちの目の前に落下する。そいつはコーバッツだ。
「おい、しっかりしろ!」
仮面が砕ける。
「......うっ.....あ、ありえない」
その一言を最後にコーバッツは光の欠片となり俺たちの目の前で姿を消す。
「う.......そんな」
「またかよ!」
また、守れなかった。
「うわぁぁぁぁ!」
軍の一人がグリームアイズの目の前で恐怖のあまり動けていない。グリームアイズが大剣を振り上げる。
「ダメ.........ダメよ。もう.......」
大剣を振り下ろす。
「ダメぇぇぇ!!!」
耐えきれなくなったアスナがボスの部屋に飛び込む。
「アスナ!!」
キリトもアスナを追い飛び込む。
「これ以上は.....殺させねぇ!!」
俺も飛び込む。
アスナが細剣四連撃技《カドラブル・ペイン》をグリームアイズ与える。グリームアイズがアスナに攻撃を切り替える。大剣を振るう。それを剣を使い避けるも、続くて左拳が襲う。避けることが出来ず、アスナの体は飛ばされる。飛ばされた先にグリームアイズが大剣を振り下ろそうとする。
「うおぉぉぉぉ!!」
振り下ろされる大剣の軌道をキリトが自らの片手剣で逸らす。
「下がれ!!」
アスナが一旦体勢を立て直すために離脱。クラインと風林火山のメンバーが軍を避難させる。
それを阻むようにグリームアイズがブレスの大勢に入る。
「させるかよ!!!」
槍を後ろに引き、システム起動を体が捉え、一直線に投げる。
槍投撃技《レイヴァテイン》
一直線に空を裂いた槍がグリームアイズの体に突き刺さる。
「キリト!!!」
「わかってる!!!」
キリトがグリームアイズと激しい剣撃戦を繰り広げる。だが、大剣のリーチと重さにキリトがいつまで耐えきれるか。
キリトが一旦、グリームアイズとの距離をとる。
「キリト!俺が少しの間、時間をかせぐ。その間にあれの準備を!!」
武器を片手剣から槍へ、リズに作ってもらった、金色に光る黄金の魂の名を持つ槍、《ゴールデンソウル》に左手を持ち替え、右腕に自らの手を武器とする俺の能力。ユニークスキル《手刀術》。
「おりゃぁぁぁ!!」
雄叫びをあげながら、右足で踏み込み槍を突進させる。
槍三連突進技《トリシューラ》
三連撃目を終えた瞬間に技後硬直が起こる前に続けて右手の手刀を体より前で構え腕を横にし、体が一瞬軽くなる。そして一気に間合いを詰めて剣道の胴を打つように切り裂く。
手刀上位剣技《太刀風》
光を纏う右腕がボスの体を腰回りから叩き切る。
《手刀術》最大の特徴は、他のソードスキルの技後硬直の影響を受けずに動かせることにある。通常の片手剣と槍でも行うことでできる無理矢理スキル同士を繋げているものとはわけが違う。
さらに《太刀風》の技後硬直が起きる前に槍を右へ払い、さらに左にもう一度戻す。
槍水平往復技《アキュリス》
グリームアイズの体を真っ二つに斬るように槍で切り裂く。
「シュウ、スイッチ!!」
「おう!」
最後にグリームアイズの大剣を手刀の右手を思いっきり上にあげて弾く。
手刀縦剣技《上波烈》
俺は、後ろを見ることなくキリトと前後を一瞬で入れ替わる。
「いけぇ!!キリト!!」
キリトの秘策........俺の知る二つ目のユニークスキル《二刀流》
アスナ、クラインが驚きを隠せないようだ。多分、俺は手刀術を使った時もこの二人はこんな顔をしていたんだろう。
「.......スターバースト・ストリーム」
二刀流上位剣技《スターバースト・ストリーム》
連続十六回攻撃を行う、二刀流上位剣技。星屑のように煌き飛び散る白光は、空間を灼くかの如き様。
二刀流の剣撃が嵐のようにグリームアイズの体に次々と叩き込まれる。だが、連続十六回攻撃なため、大変な隙が生まれスキル発動中に攻撃受けてしまう弱点がこの技にはある。
ダメージを受けようとキリトは引くこともなく二本の剣を振るう。白い光が空間を切り裂くと同時にグリームアイズが光の欠片となり消滅する。それと同時にキリトも地面に倒れこむ。
「キリト!!」
「キリト君!!」
倒れるキリトにアスナが寄り添う。
「キリト君!!キリト君ってば」
アスナが泣き出す。
その声にキリトは目をゆっくりと開ける。
「どれくらい、意識失ってた」
「ほんの数秒よ。バカ!無茶して」
アスナがキリトに抱きつく。
「あんまり締め付けると俺のHPがなくなるぞ」
クラインが口を開く。
「コーバッツと後、二人死んだ」
「ボス攻略で犠牲者が出たのは六十七層以来だな」
「こんなんが攻略って言えるかよ。コーバッツの馬鹿野郎が。死んじまったら何も言えねぇじゃねぇか」
クラインがこの雰囲気を断ち切るように話題を変える。
「そりゃそうとオメェ何だよ、さっきのは」
「言わなきゃダメか?」
「アッたりめぇだ!見たことねぇぞ。あんなの」
キリトがその重い口を開く。
「.......エクストラスキルだよ。.......《二刀流》」
(ついに言うのか、キリト。)
風林火山のメンバーが驚く。
「出現条件は?」
「わかってりゃ、もう公開してる」
「情報屋のスキルリストには載ってねぇ。お前、専用ユニークスキルじゃねぇか。まさか、シュウのさっきの光も!」
「そうだよ、あれもエクストラスキルだ」
「半年くらい前、スキルウインドウをみたらいつの間にか二刀流の名前があったんだ。でも、こんなスキル持ってるって知れたら」
「ネットゲーマーは嫉妬深いからな。俺は人間ができたらともかく、妬み嫉みは、そりゃぁ。まぁ、苦労も修行の道だと思って頑張りたまえ」
「.......勝手なことを」
「転移門のアクティベートお前が行くか?」
「いや、任せるよ。俺はもうヘトヘトだ」
「それじゃあ、気をつけて帰れよ」
俺と風林火山のメンバーが門を目指す。
「その、オメェよう。軍の連中を助けに行った時.......」
クラインが言葉を切る。
「なんだよ」
「俺......なんつうか。嬉しかったよ.......またな、じゃあな」
クラインを見ると少し目には涙を浮かべていた。
二〇二四年十月十九日 第五十層・アルゲード
「軍の大部隊を全滅させた青い悪魔。それを撃破した光剣使いの連続スキルと二刀流使いの五十連撃。こりゃずいぶん大きく出たもんだな」
エギルは笑いながら言う。
「尾ひれがつくにもほどがある。その所為で朝から剣士やら情報屋に押しかけられて寝ぐらにもいられなくなったんだからな」
「俺は幸い、光剣としか書かれなかったからセーフだったけどな」
「そりゃぁ、あんたの自業自得なんじゃないの?あたし達だけの秘密だって言ったのをバラしちゃったんだからね」
エギルの店に来ていたリズがいたずらするようなにやけ方でキリトを見る。
ドアが開いた音がし、息を切らしたアスナが現れる。
「はぁ....はぁ.....どうしよう、キリト君、シュウ君.....大変なことになっちゃた!」
ページ上へ戻る