帰ってきたらD×Dだった件
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第一章 旧校舎のディアボロス
駒王町への帰還
sideイッセー
「つ、ついに完成したんですか?」
「ああ、マイ達の研究の成果だな。」
俺の名前は兵藤一誠。
見た目は中~高校生くらいのままだが、実年齢は28歳だ。
元々は普通の中学生だったんだが、なんの因果か地球とは違う異世界に迷い込んでしまったここでいう”異世界人“と称される存在である。
エロ本を買いにいっただけの筈がいきなり森の中に迷い込んでいたときはほんと途方にくれたもんだぜ。
2日もの間訳もわからず魔物から逃げ回っていたところをリムルに助けられたのは運が良かったと言わざるを得ない。以来13年ここで暮らしている。
『あの時の相棒は混乱しっぱなしだったからな。』
「それはドライグも同じだろ。」
そうそう。俺たちを語る上ではドライグも忘れちゃいけねえ。
ドライグは俺の中に眠っていた“神器”と呼ばれる存在の中でも上位に当たる“神滅具”の一つ“赤龍帝の籠手”に封印されてるドラゴンだ。
ドライグは俺が魔物に襲われている最中に目覚め以来俺の相棒として一緒にいる。
ドライグも最初は見たこともない魔物に対し混乱していたが今では慣れたもんだ。
現在、俺たちはジュラの大森林と呼ばれる地域の国、”魔国連邦“にて客人という立場でずっと在籍していた。
今回、俺は帝国の“NNU魔法科学究明学園”に所属している古城舞衣が研究・開発をした異世界の門の術式を使い、ついに元の世界…地球へと帰還しようとしていた。
ただ地球に戻るだけじゃ13年もの月日が流れているので今回はリムルに特別に作ってもらった時間をも越える特別な異世界の門を使う。
これはリムルのオリジナルでクロエとも協力して作ったらしい。
「本当にありがとな。なんかオレだけ特別扱いみたいで悪いけど…。」
「気にするなよ。お前はそれだけの活躍をしてくれたじゃないか。
これくらい特別扱いしてもバチは当たらねえよ。」
「…ぶっちゃけそこまで活躍したつもりはないんだけどな…。
帝国との戦争でも天魔大戦でもそこそこしか活躍できなかったし。」
少なくとも守護王とか他の魔王勢とかと比べるとおこがましいくらいの活躍しかしてない気がする。
「何言ってんだよ。天魔大戦では洋服崩壊で相手の武器防具を破壊し相手に打撃を与えてたし帝国との戦争でもクロエと一緒にジウを倒したじゃないか。
お前のスケベな心から来た技がまさかあれだけの活躍するとかおもってなかったし…。」
呆れたようにジト目で俺を眺めるリムルに少し苦笑をする。
確かに、俺の洋服崩壊は伝説級なら確実に破壊できるし使い手が弱かったり武器が成り立てとかなら神話級の武具すらも破壊できる。
その力で俺は帝国との戦いで皇帝近衛のジウの防具と服を破壊したり、天魔大戦でも究極能力”武創之王“にて作られた防具をも無効化してみせた。
まあ、その後帝国のジウからは会うたびに滅茶苦茶嫌な顔されるようになったけど…。
閑話休題
「お待たせしたっすイッセー。こっちも準備はできたっスよ。」
そう言ってトコトコと堕天使のミッテルトが親友のエスプリと共に俺のもとにやって来た。
彼女はえーと…俺の恋人であり、元々はファルムス王国の異世界人だった少女だ。
異世界人唯一の人外であり、ファルムス王国からの立場も最悪そのもの。しかし、魂にかけられた呪いのせいで逆らうこともできず、ファルムスとの戦争時は俺と戦った戦士でもある。
その時俺の洋服崩壊を自らの権能で高めた呪縛崩壊で魂にかけられた枷を外し解放してあげ、その後は俺たちの仲間として魔国連邦の研究所に所属。
しばらくあって恋人同士の関係になった。
「エスプリ。見送りに来てくれて感謝するすよ。」
「いやいや、私とアンタの仲じゃないですか。向こうでも元気にねミッテルト。」
挨拶もほどほどにミッテルトは魔方陣の上に乗る。
「ミッテルトも大変だよな…。こんな変態とお付き合いするだなんて…。」
リムルの言葉にうんうんと相槌をうつエスプリ。
それに苦笑をしながらミッテルトは答える。
「いえいえ、もう慣れたもんすよ。向こうの世界でも悪魔や堕天使は一夫多妻もあったし気にしてないす。」
「やだこの子健気!」
少し耳の痛い話である。
ミッテルトとお付き合いを始めた後も気を付けてはいる。いるのだが、他の子に目を奪われたり煩悩まみれになったりすることがよくある。
最初の頃は目くじらたててたがいまではこの悟り具合である。
本当にごめんなさい。
「でも、寂しくはなるすね…。」
ミッテルトの一言で辺りがシンとする。
しかし、リムルが一つ爆弾を投下した。
「大丈夫大丈夫。この門は指定した場所で固定されるからいつでもこっちに戻れるぞ。」
「「はぁ!?」」
まさかの発言である。
終生の別れを覚悟してたってのによ…。
「あれ?言ってなかったっけ?」
「「初耳だ(す)よ!!!」」
この人はこういう…、何て言うか抜けているところがある。
そういうのは早く言ってほしかったぜ。
「スマンスマン。まあでもそういうわけだからさ、こっちに来たい時はいつでも来てくれて構わないぞ。」
「わかったっす。リムル様。そういうことならまた遊びに来るすよ。」
「おう。」
さて、準備はできた。
俺は魔方陣の上にたち、魔力を込める。
すると魔方陣は光輝き、俺たちを包み込む。
そして俺は再びリムルに向かい合う。
「「今までお世話になりました。ありがとうございます。」」
リムルの軽い会釈と同時に俺たちの視界が光でおおわれる。
しばらくたつと、そこはかつての俺の部屋だった。
少し片付いている気もするが多分気のせいだろ。
カーテンを開けると13年ぶりに見る故郷。駒王町の町並みが眼下に広がっていた。
「帰ってきたのか…。本当に…。」
俺たちが感慨にふけてるとドタドタと誰かの足音が聞こえる。
バタンと大きな音と共にドアが開き、そこには少しやつれた両親の姿があった。
こちらからすれば13年ぶりだが、向こうからするとそんなにたってないのにどうしたんだろうと思っていると二人は俺を泣きながら抱きしめ…
「一誠お前、1ヶ月もどこへ行ってたんだ?」
と爆弾を落とした。
おいリムル。時間間違ってるじゃねえか。
「えーと、このお二人がイッセーのご両親すか?」
すると二人もミッテルトに気づいたのか少し面食らっている。まあ、いきなり部屋にゴスロリ姿のロリっ子美少女がいたんじゃ困惑するか。
「え~と、君は?」
恐る恐る父さんがミッテルトに訪ねる。
するとミッテルトは笑顔で
「はじめましてイッセーとお付き合いさせてもらってるミッテルトと言います。よろしくっす。」
その言葉を聞いて二人は一瞬呆け…
「「ええええええ────!!??」」
近所迷惑になりそうな絶叫をした。
*******
俺は今まで魔国連邦にいた時のことを詳細に説明した。
俺がある日魔素溜まりから異世界に迷い込んでしまったこと。
自分の時間軸では13年もたっていること。
今の自分が人間ではなく聖人であるということ。
驚いてはいたが、魔法などを実演して見せることで二人ともすんなり信じてくれた。
母さんに至っては老化しない聖人の特製を聞いて羨ましがっているし。
「…とまあ、ここまでがおれが魔国連邦で過ごした軌跡だ。」
「…そうか、大変だったんだな一誠。」
すると父さんと母さんは互いに頷きながら俺たちに向き合う。
「改めて言いましょう。おかえりなさい一誠。」
母さんと父さんのその言葉を聞いて思わず涙がこぼれる。
魔国連邦での13年も楽しかった。
けど、やっぱり俺のいるべき場所はここなんだな…。
俺は涙を拭き、とびきりの笑顔で二人に答えた。
「ただいま!」
ページ上へ戻る