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ドリトル先生とめでたい幽霊

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第十二幕その八

「実際にお会いして凄く明るかったしね」
「気さくでいい人だったわ」
 ガブガブが見てもです。
「こちらも気兼ねなくお話出来たわ」
「いや、悪い人じゃなくて」
「飄々として飾らない人だったわね」
 チープサイドの家族も言います。
「それでいて人生の経験を感じさせるね」
「深みもある人だったわ」
「ご自身のことも奥さんのこともお話してくれて」
 ホワイティの口調はしみじみとしたものになっています。
「それも話しやすくてね」
「関西弁がまたよかったね」
 チーチーはこちらがいいと言いました。
「柔らかくてね」
「お洒落だったし」
 このこととはトートーが言いました。
「雰囲気もよかったよ」
「昭和の雰囲気を明るく見せてくれる」
「そうした人だったね」
 オシツオサレツも言います。
「大阪をこれ以上ないまでに愛している」
「そんな素敵な人だったよ」
「だらしないってご自身で言うけれど」
 老馬が思うにです。
「清濁両方知っている感じだね」
「そう、人間は清潔なままでも窮屈だしね」
 先生も皆に応えます。
「それと一緒にだよ」
「濁ったものっていうかね」
「だらしなかったりお金や女の人で問題起こしたり」
「そうしたお世辞にも褒められたこともする」
「それもまた人間で」
「そういうのも受け入れることだね」
「そのことがね」
 まさにというのです。
「織田作さんの作品でね」
「織田作さんだよね」
「奇麗でない人もいて」
「そうした人達なりに生きている」
「そして最後は落ち着く」
「色々あってね」
 その果てにというのです。
「そうなるんだ、織田作さんはね」
「そして織田作さん自身もそうだったし」
「清濁あって」
「折角入った高校も放校になって」
「奥さんと駆け落ちして一緒になった」
「そうした人生だったから」
「ああして人間の清濁を受け入れていてね」
 その両方をというのです。
「そして大阪もだよ」
「大好きで」
「大阪の人もそうで」
「それが作品に出ていて」
「そして今も大阪におられる」
「そうなんだ、幽霊のお話は聞いていたけれど」
 それでもというのです。
「お会い出来て何よりだよ」
「先生はそうした出会いが多いけれど」
 王子が言ってきました。
「運命だね、先生は色々な人を引き寄せるんだ」
「僕ははんだ」
「そう、不思議な魅力があるから」
 だからだというのです。
「人や生きものはね」
「僕に来てくれるんだ」
「僕達もそうだけれど」
「織田作さんもだね」
「そう、だからね」 
 それでというのです。
「お会い出来たんだよ」
「そうなんだね」
「そう、実際織田作さん先生を嫌っていなかったね」
「有り難いことにね」 
 そうだったとです、先生は答えました。 
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