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ドリトル先生とめでたい幽霊

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第八幕その一

                第八幕  ごぼ天
 先生はこの日は皆を連れて天下茶屋に来ていました、南海本線の駅から結構歩いて中学校と小学校の前を歩いてです。
 もう一つの駅のところにある商店街に来ましたが。
 そこの天麩羅屋さんに行って皆にお話しました。
「これもだよ」
「そうそう、天麩羅なんだよね」
「大阪にはこうした天麩羅もあるんだよね」
「魚のお肉を練ってね」
「それで揚げた」
「大阪は前に海があるからね」
 先生はお店の前で注文したものが出来るのを立って待ちながら皆にお話します、見れば目の前で揚げられています。
「だから魚介類も豊富だね」
「そうだよね」
「だから昆布もあるしね」
「それでだしにも使うし」
「それでだよ」
 このことがあってというのです。
「こうしてなんだ」
「お魚を練って蒲鉾みたいにした天麩羅もあるんだね」
「はんぺんみたいなのが」
「生姜もあるし」
「こちらの天麩羅も美味しいんだよね」
「そしてこの天麩羅はね」 
 皆にさらにお話します。
「織田作さんの作品にも出ているよ」
「あれっ、そうだった?」
「カレーとか善哉とか関東煮は知ってるけれど」
「先生も行ってたけれど」
「鰻丼のことも」
「けれどこの天麩羅もなんだ」
「そうなんだ、夫婦善哉の最初にね」
 まさにこの場面にというのです。
「ヒロインのお父さんがこの天麩羅を焼いていてね」
「そうだったんだ」
「まさにこうしたお店をやってたんだ」
「それで焼いて売っていたんだ」
「そうなんだ、年中借金取りが出入りしたと書いてあって」 
 夫婦善哉の最初にです。
「それで焼いていたら買いに来た子供がはよ焼いてくれっていうんだよ」
「大阪弁でだね」
「まさにそれで」
「そうなんだね」
「そうだよ、河内弁でなくてね」
 そうでなくてというのです。
「大阪市の言葉なんだ」
「大阪市?」
「大阪の言葉も色々あるんだ」
「同じ大阪じゃないんだ」
「それが違うんだ」
 夫婦善哉の最初の場面の様にです、先生はごぼ天が焼き上がるのを待ちながらそのうえで皆にお話します。
「これがね」
「へえ、そうだったんだ」
「同じ様だと思っていたら」
「大阪の言葉も色々なのね」
「そうなんだ」
「明治になるまで大阪は三つの国だったね」
 このことからお話しました。
「摂津、河内、和泉の」
「あっ、そうだった」
「昔はそうだったわ」
「大阪は三つの地域に別れていて」
 皆も言います。
「摂津にこの大阪が入っていて」
「河内は八尾の方」
「そして和泉は堺だったね」
「その三つの地域が一つになって大阪府になっていてね」
 それでというのです。 
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