タイトル案は第一話に記載しています。
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ルガーデ殲滅戦➁
「兄さん!!!危ない!!!」
フランク少佐の頭上へと落石する。
「うわぁぁあっ!!!」
フランク少佐が慌てて落石を躱した。
まあ、そう甘くはないか。
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【アルフレート視点】
ールガーデ峡谷 孤島ー
孤島にはリントヴルムの二頭。それに相対するのは俺とブリュンヒルト中佐で、他の兵たちは周囲の魔族を抑えている。
「中佐、何か作戦とかあります?」
「うーん、特にないですね」
先に仕掛けてきたのは向こうだった。二頭のうちの一頭が薙ぎ払うように攻撃してくる。
俺はそれをなんとか躱した。
「中佐!大丈夫ですか?」
「ええ、全て見えていますよ。ぼんやりとですが。」
どうやら中佐は小さな動きで躱したらしい。
「それで、どうします?」
「一頭は私が仕留めます。あなたはもう一頭を倒してください。」
敵個体の一頭が中佐に噛みつかんとする。
しかし中佐はその場を動こうとしない。
(何をする気だ...?)
敵の口が中佐へと接近する。
(いや、あれは...!)
(氷を目の前でレンズ状にして視力を上げている...!)
「あなたの動きは完全に把握していますよ」
そして敵が限界まで近づいた瞬間、魔法を発動する。
「『咲き乱れるは雪月花(Flower of Blizzard)』」
それにより、一頭は完全に凍り付いた。
(今しかない...!)
氷漬けになった個体の上へ飛び乗り、さらに跳躍する。
二体目の真上、高さ七メートルほどから剣を抜く。
「いくら背が高くても、真上からじゃどうにもできないよな」
そして俺の剣は敵を真っ二つにした。
よし。とりあえずここはなんとかなっただろう。
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~ルガーデ峡谷 西部~
「橋の魔族は一通り片付いたかな。じゃあ...」
フリッツ少佐が場所を移ろうとしたときだった。
「うわぁぁ!!!!!!!!!」
突如、足元が崩れ、一段下の空間へと落下する。
ーかかった。さっき落とした石が不安定だった足場をさらに悪化させ、結果人ひとり乗れば崩れる仕掛けへと変化したわけだ。
「いてて....」
フリッツ少佐が足を痛めていると、そこへ影が忍び寄る。
巣穴の中に潜伏していた一頭が、フリッツ少佐の腹に噛みついた。
「あがぁぁッ!!!!??」
思わず嗚咽を上げる。
「くっそお!!!!!」
敵個体の牙が腹へと強く突き刺さる。
出血が酷く、内臓もグチャグチャになっているだろう。
それでも、まだ。
ーまだ、負けたわけじゃない。
風魔法で敵の首を斬り落とそうとする。
「ッ!!!」
やっぱり斬れない。僕だけの力じゃ弱いんだ。
だったら、どうだっていうんだ。
「残念、だった、な」
その声に怯えはなく。ただ、僅かな自信があった。
そして、さっきの戦闘で服のポケットに入った兄さんの氷を取り出した。
「僕たちは、二対一、なんだッ!!」
氷を首に当て、風で勢いをつけて斬る。
「ッ、うああああぁあああ!!!!!!!!」
そして、一刀の元に首は切断された。
「はぁ、はぁ、、僕たちの、勝ちだ」
そう言って笑いながら、フリッツ少佐は息を引き取った。
(やったか。最後の足掻きは見るに堪えなかったが、まあいいだろう。まずは一人。)
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ールガーデ峡谷 北西部ー
「飛行型が出たぞ!こっちに来るまでに仕留める!」
孤島へと続く橋の下の断崖から飛行型が舞い上がってくる。
「動きを止めろ!隙を作れ!」
飛行型の動きを止めるべく、風魔法が使われた。
確かにそれは、飛行型の動きを止めた。
だが、今回においてそれは失敗だった。
今だ......!
タイミングを見計らって、狙いを定める。
さっきフランク少佐の魔法から得た氷の欠片を持ち、橋の接続部分、綱に向かって投擲する。この距離だと切断には至らないはずだったが、強風に吹かれて勢いをつけ、橋は落とされた。
落とした橋の先にいるのはアルフレート少佐とブリュンヒルト中佐か。
そこで野垂れ死ぬがいいさ。
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【アルフレート視点】
ールガーデ峡谷 孤島ー
「橋が落ちたのか!!?」
思わず声を上げる。
橋の長さは結構あった。ここから元の場所に戻れるか...?
ブリュンヒルト中佐が落ちた橋の前へと歩み寄る。
そして向こう岸まで氷の足場を繋げた。
「この距離を繋いだ...!?」
中佐が向こう岸へと渡っていくのに続いて氷の橋を渡る。
よく見ると薄い。なるほど、それでこれほど長くできたのか。
「あっ、あんまり急いだら駄目ですよ」
「落ちますから」
「えっ...?」
そして俺はゆっくりと向こう岸へと渡った。
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さて、地上の敵個体はあらかた片付いたか。
なら、そろそろか。
「敵の本拠地が見つかったぞ!!」
兵のすべてがその場所へと移動していく。
その流れに乗って僕もそこへ向かった。
ールガーデ峡谷 南西部ー
南西部にある大穴に兵が集められる。
「おそらくここに敵の本体が潜んでいる可能性が高い」
大佐が大穴の前で状況を説明する。
「中には闇魔法による防壁があるが、敵個体を倒すごとに消滅することが確認された」
だが、防壁はまだ残っている。
「残りの個体は、地下に潜んでいる可能性が高い。地面の穴から潜入して打倒せよ」
地面の穴は合計五つ。空間は大して広くはないから精鋭が単独で向かうことになるはずだ。
「まず一つは私が叩こう。」
大佐が一つ潰すことを決め、中佐が一人一つずつ潰すことになった。
あと二つ、か。
「ゲルハルト少佐は火力の都合から地下での戦闘には向かないだろう」
大佐がそう言うと、
(た、助かったぁ...)
ゲルハルト少佐は静かに安堵した。
「俺にやらせてください。」
アルフレート少佐が名乗り出る。
あと一つだ。
「僕があいつらを倒します。」
決意の籠った様子でフランク少佐が言う。
フリッツ少佐の死を誰かが見つけて報告したのか。
それで怒りに満ちているわけか。なるほど、
「一人でいけるか?」
大佐が確認する。
「一人でも、やってやります」
少佐が覚悟を決める。
「いえ、でしたら僕もそこへ行きます。」
「そうか。ではそうしよう」
勇者の提案を大佐は了承した。
そうして、峡谷の地下へと潜っていった。
Next is.....Heading underground...
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