八条学園騒動記
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第六百四十九話 大団円となりその十二
「普通に奴隷はね」
「貴重な財産でしたね
「まだね、というかね」
それでもというのだ。
「敵に対してであって」
「奴隷というのはですか」
「私としては少し違う?」
ナンはセーラに答えた、ただしこれはモンゴルの者としてでるがこの時代のモンゴルの者としてである。
「そういうのとはね」
「左様ですか」
「そうなの」
「奴隷ではなくですか」
「モンゴル帝国は敵には容赦しないから」
皆殺しなぞ普通であった。
「だからね」
「その考えでのことですね」
「もう奴隷じゃなくてね」
「敵ですね」
「モンゴル帝国の統治は寛容だったのよ」
その下にある文化や宗教への迫害は一切行わなかった。
「それで従うならね」
「殺さなかったのですね」
「自分達は貴族だったけれどね」
それでもだったというのだ。
「有能なら誰でも重く用いていたし」
「人種や民族、宗教に関わらず」
「そうしていたから」
だからだというのだ。
「別にね」
「非道でもないですか」
「モンゴルはね」
「そこは私の誤解ですか」
「そう思うわ、ただ敵にはね」
モンゴル帝国はというのだ。
「微塵もね」
「容赦しない国でしたね」
「ただ殺すにしても」
こちらは徹底していた、キエフやバグダートは死体で埋まりそのうえで街は何もかもが破壊され尽した。
「皆殺しにはしても虐殺はね」
「しませんでしたね」
「あっさりとね」
相手を苦しめずにというのだ。
「殺してたわよ」
「そうでしたか」
「そんなエウロパの連中みたいな」
「虐殺はしませんでしたね」
「十字軍とか植民地統治とか」
その頃の様にというのだ。
「惨いことはね」
「しないで」
「本当にあっさりとね」
その様にというのだ。
「そうしていたから」
「残虐ではなかったですか」
「逆らうからそうしただけで」
「宗教が違う等の理由ではですね」
「殺さなかったわ」
「それじゃあね」
ローリーがナンに尋ねた。
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