インフィニット・ストラトス ~五年後のお話~
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学園生活
第十話 襲撃者!!
???
「さて、どうするかな?」
赤色は無邪気に笑う。
___________
第五アリーナ
輝龍SIDE
アリーナを強い衝撃が襲い、現れたのは全身装甲(フル・スキン)の二体のISだった。
「おいおい!これって五年前に襲撃してきたっていうISじゃねえか!!」
五年前、正体不明のISがIS学園を襲撃したというニュースを見た事がある。
その時見たISと細かいところは違えどほぼ同じなのだ。
一機のISがまるでその声に反応したかのようにこちらを向く。
そのISの目が紅く光ったかと思うと何もしていないのに俺とメイのISが起動した。
「な!?どうなってるんだこれ!?」
通常であれば持ち主の意思を無視してのISの展開など普通は不可能なはずである。
一体何が起きたのか・・・?
『所属不明のIS。ロックされています』
「考えてる暇はなさそうだな・・・」
「・・・戦わなきゃいけないみたいだね、リュー」
「そうみたいだな」
「そうと決まれば!!」
メイはそう言って司令室のガラスを割り、グラウンドへ飛び降りる。
「ちょ!!ガラス割るなよ・・・」
俺まで後で怒られそうだ。
「はあ・・・割れちまったもんはしょうがないか・・・」
仕方がないので割れたガラスのところから飛び降りる。
「メイ・・・ガラス割ってんじゃねえよ」
「まあまあ、雰囲気的にそうしないといけないでしょ」
「まったく・・・」
そんなことを話していたら俺たちをロックしたのとは別のISが急に飛び上がり、校舎のほうへ飛んで行ってしまった。
「しまった!アルバレルト、追うぞ!!」
「はい!!」
「そいつはお前等二人でどうにかしてくれ!!」
そう言って織斑先生は『白式』を起動させ、アルバレルトとISの飛んでいったほうへ向かっていった。
「さて、そんな感じだし・・・いっちょやるか!!」
「おう!!」
俺等二人はそれぞれ武器を構え全身装甲(フル・スキン)のISを睨みつけた。
__________
上空
一夏SIDE
俺とアルバレルトはもう一つのISを追う。
あのIS・・・おそらくは無人機だろう。
そう、五年前俺と鈴が戦っていた時とタッグマッチの時に襲撃してきたあの無人機だろう。つまり、送ってきたのは篠ノ之 束ということになる。
前のときとは違っているからおそらく新型を送ってきたのだろう。
しかし、大事なのは送ってきたのが誰かということではない。
何故束さんが無人機を送ってきたかである。
束さんは興味があるものにしか労力を使わない人である。極端な話、興味がないものは存在しないかのように扱っている。
そんな人が何故送ってきたのか。
まあ、この状況から見ておそらく目的は西条だろう。きっとあのISは俺を引き離すための囮に違いない。
一体何に興味を持ったのかは分からない。
だが、あの天災(・・)が興味を持ったということは非常にまずい。
本当にあの人は何を仕出かすか分からないからだ。
自分の興味のためなら他の人がどうなるかを考えない。しかも天才だから大抵の事は簡単にやってのけてしまう。
本当にあの人は恐ろしい。いろんな意味で。
ここに千冬姉が居れば・・・と考えてしまう一夏であった。
__________
アリーナ
最初に仕掛けたのはメイであった。
メイのIS―――『伐折羅』は、身の丈以上ある巨大なモーニングスターをかまえ(モーニングスターとは針のついている鉄球に棒がくっついたようなものである)謎のISに襲い掛かる。
しかし、相手は筒のような両手を正面で交差するようにしてかなりの勢いのモーニングスターを受け止めてしまう。
「あの威力を受け止めるのかよ・・・」
「かなりの硬さだな・・・あいつ」
「でも、これならどうかな!!」
俺は相手の後ろに回り、『龍(ドラゴン)の牙(ファング)』の武器の一つであるシールドピアスを叩き込もうとする。
しかし、相手に当たる寸前でシールドスピアが止まってしまった。
「な!!??」
「どうなってんだよ!?リュー!!」
「俺が聞きてえよ!!」
空中で止まったということはAIC(慣性停止結界)であろうか。
だとしても後ろからの攻撃をAICで止めるなんて聞いたことない。
『ターゲットからの攻撃を確認―――迎撃を開始します』
「「!!!!」」
相手から声がしたかと思うと、受け止めていたメイのモーニングスターを弾き飛ばして上空へ飛び上がった。
『殲滅―――開始します』
その声と共にかなりの数のミサイルや銃が現れる。
その数、ざっと100。
そして、それらはメイに向けて火を吹いた。
「!!!」
「やばい!!間に合うか・・・!」
俺は急いでメイの前に行き、『龍の牙』の盾を展開する。
『龍の牙』の盾は展開することで一回り大きくなり、エネルギー限定の盾が普通の盾の周りに増えるのだ。
相手の武器には実弾の武器もあるが無いよりはマシだろう。
「おお!!リュー、助かったぜ!!」
「おう。でも、この状況どうするかな・・・」
相手からの弾幕が激しすぎて盾の外へ出ることが出来ない。
このままでは嬲り殺しである。
「メイ、『伐折羅』のデータをこっちに送ってくれないか?」
「どうしてだ?」
「この状況を打破する策を考えてやる」
「!・・・わかった。任せるぞ、リュー!!」
「おう、任せとけ!!」
メイから『伐折羅』のデータが送られてくる。
『伐折羅』―――中国の最新型の第三世代。スペックは他の第三世代より少し上。オレンジを主体としたデザイン。所有している武器は、モーニングスター×4と申し訳ない程度の実弾銃。それと―――
「!! これならいけるか・・・!」
「リュー、どうだ?作戦出来たか?」
「ああ、これから説明するぞ―――」
◆ ◆ ◆
「―――わかったか?」
「わかったけど、これだとリューが・・・」
「心配すんな。俺には奥の手があるからな。自分のことを心配しとけ」
「・・・うん」
「じゃあ3数えたら行くぞ」
「わかった・・・」
「1―――」
『龍の牙』を握り締める。
「2―――」
メイの目が真剣になる。
「―――3!!」
合図と共にメイが盾の後ろに下がり、相手にモーニングスターを投げつける。
相手のISは目の前に飛んできたモーニングスターを、ミサイルを呼び出し爆破する。その破壊していて弾幕が止んでいる間に俺は後ろに回り『龍の牙』の剣で斬りつける。
「おら!!!」
しかし、背中のAICにより止められてしまう。
「でも、そんなの想定内だよ!!」
俺に集中している間にメイがもう二つモーニングスターを投げつける。そのモーニングスターによって銃のほぼすべてを破壊し、本体にダメージを与える。
その攻撃によってAICが解ける。
『武器の損傷―――大。機体損傷―――小。―――絶滅モードに移行します』
その声と共に筒のような腕が巨大な大砲のようになる。そして、徐々に腕にエネルギーがたまり始める。
でも―――
「それだって想定内なんだよ!!」
俺は相手の後ろから腕を絡ませて銃口がメイに向かないようにする。
相手はもがくように抵抗するがほどけない。
「今だ、メイ!!」
「うん!!」
メイは新たな武器である小さな小刀を出す。
その名は『泰阿』。昔の中国の伝承に出てくる剣をモチーフにしている武器である。
その伝承によれば、たったの一振りで―――
「喰らえ!!!」
メイは剣を振り下ろす。
―――敵の三軍が破れ流血千里したと言われている。
メイが振り下ろした途端、ものすごい衝撃波が相手のISに向かって飛んでくる。
ISは危機を察知したのか先ほどよりも強く足掻く。
しかし、腕は離れない。
「リュー。早くそこから逃げて!!!」
メイがこちらに叫んでくる。
だが、ここで離してしまうと避けられてしまう。だから、俺は敵と巻き添えにならないといけない。
先ほどは奥の手があると言ったが、生憎そんな都合の良いものはない。
「敵さんよー。俺と一緒に地獄行こうぜ」
そして、巨大な衝撃は俺とISを巻き込んだ。
「リューーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
メイの叫び声がアリーナに響き渡った。
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