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鎖から解き放たれた犬

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第二章

 奇麗な場所に住ませて入浴やブラッシングをして散歩をさせて遊んであげて自由に走らせたりもしたが。
 ルゼラインは同僚のリーに話した。
「最初は見てられなかったですね」
「自分の名前を呼ばれてもね」
 同僚も応えた。
「わからなくてね」
「自分の名前を呼ばれたって」
「名前を呼ばれたことがなかったから」
 だからだというのだ。
「それでだよ」
「わからなかったんですね
「そして散歩もね」 
 犬なら絶対のこともというのだ。
「知らなくてね」
「奇麗な場所やご飯も」
「何もかもね」
 まさにというのだ。
「全くだよ」
「知らなかったんですね」
「もうね」 
 それこそというのだ。
「まともな生活をね」
「本当に酷い状況にいたんですね」
「けれどね」 
 同僚はさらに話した。
「もうね」
「それでもですね」
「今はこうしてだよ」
 今のピーナッツを見た、するとだった。
 彼は元気に走り回っている、その彼を見つつルゼラインに話した。
「幸せにね」
「走ることもですね」
「知ったよ、だから今度はね」
「素晴らしい家族にですね」
「巡り合ってもらおう」
「そうしましょう」
 こう話してそうしてだった。
 今度は確かな家族を探した、すると地元でァイルクリームを売っているアフリカ系の男性が名乗り出てだった。
 家族を迎えた、その男性は暫く経ってからピーナッツを連れて団体の施設に来てルゼラインに話した。
「物凄くいい子ですね」
「ワンワン」
「素晴らしい家族を有り難うございます。
「素晴らしいと思えるのは貴方が素晴らしい人だからです」
 ルゼラインはその男性に笑顔で答えた。
「だからです」
「それで、ですか」
「前の飼い主の人のことは聞いていますね」
「どうかという人ですね」
「そうした人はどんな子が来ても大事にしません、ですが」
 それでもというのだ。
「素晴らしい人はです」
「どんな子でもですか」
「そう言われます」
 今の彼の様にというのだ。
「そうなのです」
「そうですか」
「はい、ではこれからも」
「ピーナッツをですね」
「大事にして幸せにしてあげて下さい」
「そうさせてもらいます」
 男性は笑顔で頷いて応えた、その横でだった。
 ピーナッツはくつろいではしゃいでいた、もうかつての幸せを知らない彼はいなかった。幸せを知ってそれを満喫している彼がいた。


鎖が解き放たれた犬   完


                 2022・1・27 
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