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ドリトル先生とめでたい幽霊

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第二幕その九

「その善哉を食べようね」
「そろそろ来るね」
「それじゃあ皆で食べよう」
「カレー、鰻丼と続いて」
「織田作之助さんの作品の食べものをね」
「そうしようね、ちなみにあのカレーは名物カレーというんだ」
 自由軒のカレーはというのです。
「混ぜカレーともいうけれど」
「あのお店の名物だから」
「それでなのね」
「名物カレーだね」
「そう呼ばれるんだね」
「そうなんだ」
 このこともお話してでした。
 皆で遂に来たその善哉を食べます、二つのお碗にそれぞれ入ったそれはまさに夫婦そのものでした。
 その善哉を食べて先生は笑顔で言いました。
「いいね」
「甘くてあったかくて」
「心まで温もりそうだよ」
「普通に美味しいけれど」
「それが二杯もあるのがね」
「余計にいいね。デザートにね」 
 カレーに鰻丼を食べた後にというのです。
「いいね」
「織田作之助さんを満喫したみたいで」
「確かにいいわね」
「じゃあそれを食べて」
「そしてね」
「今回のフィールドワークは終わりだよ」
 そうなるというのです。
「他にも色々歩くけれどね」
「次の機会だね、じゃあ今日は」
 王子が言ってきました、勿論この人も食べています。
「これで神戸にだね」
「帰るよ」
「そうするね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「何度も来るからね」 
 大阪にはというのです。
「楽しんでやっていこう」
「それじゃあね」
「皆でね、ただね」
「ただ?」
「いや、今僕達は神戸に住んでいるけれど」
 それでもというのでした、ここで。
「しかしね」
「それでもなんだ」
「うん、大阪に住むことも」
「ああ、悪くないね」
「そうだね」
「僕もそう思うよ、住んでいるだけで」
 ただそれだけでというのです。
「素敵な街だからね」
「だからだね」
「それが可能なら」
「大阪にだね」
「ずっといたいね」
「そう思わせてくれる街だね、だからね」
 そうした街だからだというのです。
「織田作之助さんもだよ」
「大阪が好きだったんだね」
「愛していたんだ」
「この街を」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのです。
「ずっと書いていたんだよ」
「大阪の人達を」
「だから東京で亡くなったけれど」
 それでもというのです。
「大阪に帰った時にあらためてお通夜やお葬式がね」
「行われたんだ」
「大阪でね、それでお墓も」
「大阪にあるんだね」
「上本町にね、それで上本町の方にも行くし」
 大阪のそちらにもというのです。 
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