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実はアニメでだけ

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第二章

「我が子を千尋の谷に突き落とすんじゃなくて」
「厳しい教育じゃなくて」
「スパルタじゃなくて」
「虐待ね」
「大リーグ養成ギプスなんてね」
「無茶苦茶よね」
「うん、色々最低なお父さんだよ」 
 福嗣は言い切った。
「本当にね」
「今思うと最低なお父さんね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「原作ではちゃぶ台ひっくり返してないよ」
 福嗣は夏織にこのことを話した。
「そんなことはね」
「あれっ、してないの」
「あれアニメのことだから」
「そうだったの」
「アニメも大人気だったけれど」
 即ちテレビでも巨人を好きになる様に洗脳していたのだ、その為日本では巨人真理教というおぞましい邪教が今も幅を利かしているのだ。
「アニメだけのことだよ」
「そうだったの」
「原作でも子供いじめてたけれど」 
 主人公である彼をだ。
「最低なのは事実でも」
「子供いじめる為に他人も他チームも利用しても」
「それでもね」
「アニメだけなのね」
「そうなんだ、原作では違うから」
「それは意外ね」
「うん、アニメの影響って凄いね」
 福嗣はあらためて言った。
「原作でなくてもイメージとして定着するから」
「そうね、そのこと覚えておくわ」
「うん、しかし本当に食べものを粗末にしたらね」
「最低よね」
「全くだよ」
 福嗣は夏織に言いつつご飯を食べた、その後で二人でその野球漫画を読んだ。漫画は二人が読んでも面白いものだった。
 だが読みつつだ、二人で話した。
「やっぱり巨人にいる時はね」
「嫌よね」
「ヤクルトか巨人でないとね」
「気分がよくないわ」
「巨人って存在自体が悪だから」
「それでよね」
 二人で読みながら話した。
「そんなチームは漫画でも観たくないわ」
「全くだよ」
「見るなら負ける時」
「その時に限るわ」
「巨人には無様な負けがよく似合う」
 福嗣はこの言葉も出した。
「そう思うけれど」
「まさにその通りね」
「そうだよね」
「巨人にいる時も面白いけれど」
「その時が引っ掛かるね」
「そうね、巨人は負け役でいいのよ」
 夏織はこう言いつつ福嗣と共に読んでいった、漫画は面白くともどうしてもそのことは気になるのだった。



実はアニメでだけ   完


                 2022・1・22 
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