私はいじわる 小悪魔が住みついた
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2-⑷
終業式の日、帰る前、私達グループの女の子だけで、集まって、夏休みの宿題を一緒にやる打ち合わせをしていた。
「昂君 待って 一緒に帰ろうよ 靴箱のとこで待ってて お願い」と、私は声を掛けた。
昂君は、こっちを振り返って見てくれたが、何にも返事もしないで行ってしまった。
「真珠 どうしたの? 急に・・ アイツの事、嫌ってんじゃぁ無いの? 無視されてたじゃぁない」と、鈴花ちゃんが不思議がっていた。
「うん だね でも、何か声出ちゃった でも、アイツは待っているよ 多分」と私は笑ってしまっていた。
そして、廊下を蘭ちゃんが通るのが見えた。私達の教室の方を見ている。そう、私は、この時を待っていたんだ。多分、昂君の姿を探しているのだ。そして、私の中の小悪魔が『誘えー 声を掛けてやれ』と
「蘭ちゃん 昂君なら多分、靴箱のとこに居るよ」と、あわてて、廊下に出て行って、声を掛けていた。
蘭ちゃんは、私ににっこりとして、急いでいったようだった。私はみんなに「ごめんね」と戻ったんだけど・・
「真珠 あんたは何なん 仲をとりもっているの? まして、あんなふたりのこと」と、鈴花ちゃんが責めてきたが
「良いの! 昂君は、蘭ちゃんのことは、適当にあしらっているだけだから・・ からかってやったの」
「真珠 本当は、昂君のこと好きなんでしょー」
「そんな訳ないじゃぁない あんな無神経な奴」と、言い返したが、鈴花ちゃんは「ふーん」と言った切りだったのだ。
結局、3日後に図書館で集まることにして、私と香菜ちゃんとで靴箱に向かった。すると、私の靴箱の前に昂君のカバンが置きっぱなしになっていて、昂君の姿は見えなかった。でも、やっぱり、待っててくれたんだ。
香菜ちゃんと校庭のほうに探しに行ったけど見当たらなくて・・そーしたら、急に後ろから「ワァオー」って声がして、私と香菜ちゃんはびっくりして、その場にしゃがみこんでしまったのだ。
「お前等 遅いぞ ほらっ」って、私達のほうに へび みたいなものを投げて来た。
「ギャー」とか「いゃー」とか叫んでたと思う、私のスカートと太腿の上に・・私達は、抱き合ってメチャメチャだった。へび だと思ったんだもの・・
「バーカ よく、見ろよ」と、澄まして昂君は自分のカバンを取りに行った。それは、ただの汚れたロープだったのだ。
「昂君 ちょっと ひどいんじゃぁない」と、私が言い寄ると
「有馬 ごめんな なんか、いたずらしたくなったんだよ 本当にゴメンなさい」
「ウン こわかったんやで・・ウチ・・」と、香菜ちゃんも泣く寸前だった。
私と香菜ちゃんは、並んで歩いていたけど、離れて後ろの方を昂君は歩いていた。香菜ちゃんと別れたあと、私は、昂君が来るのを待って
「なんで 香菜ちゃんには、謝って、ウチには何にもないのー」
「もともとは、お前が鹿島によけいなこと言ったんだろう 多分な」
「そんなー ウチは ただ蘭ちゃんのこと思って・・」
「そんな訳ないだろう お前があいつのこと嫌っているのはミエミエなんだよ」
「そんなことないよ 昂君と蘭ちゃんは仲がいいもんね だから・・」
「おぉ そうだよ 今度、家に行く約束させられちまったよ」
「えぇ― そんな約束したのー バッカじゃあないの でも、良いから さっきのこと謝りなさいよー」
「おお ごめんな それに、お前のハートマークのパンツ 見せてくれてありがとうな」
あっ、さっき、へびだと思っておどろいた時だ。私、転んだまま足を広げてはたいていたのだ。いつもは、キュロットなんだけど、今日は、スカートだったんだ。又、見られたのか―。だけど
「ちがうわよー トマトなんだよ それに、お前って呼ぶなって言ったじゃない」と、言ってしまった。
「そうか トマトなぁ へっへ これからトマトパンツかー」と、先に行ってしまった。
「ウー バカ 昂」と、後ろから叫ぶのがやっとだった。昔から変わっていない。
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