役立たずが家に来て
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第五章
「作る気なんてないの」
「そうなの」
「家族でもないし縁も切ってるしね」
「じゃあ聞くよ」
夫も再び言ってきた。
「和香が殴られたりしたらどうするかな」
「そんなの絶対に許さないわ」
即答であった、躊躇のない。
「コチもポコもよ」
「そうだよね」
「大事なのに」
だからだというのだ。
「もうね」
「そうだね」
「そうよ、当然でしょ」
「暴力はよくないね」
「そんなの絶対に許さないわよ」
「僕は彼女とは直接的なつながりはないよ」
夫はこのことも話した。
「全くね、けれど和香はね」
「叔母さんよ、まだお話してないけど」
和香がこう言った。
「だから止めて、叔母さんをいじめないで」
「いじめるって」
「だって叔母さん何も出来ないのに」
抵抗も反抗も出来ないのにというのだ。
「お母さんぶったり踏んだりしてるでしょ」
「だからいじめてるっていうの」
「碌にご飯もあげないで」
「これが夏樹さんの食べてるご飯だよ」
夫はスマートフォンの画像を出した、そこにはただの残飯があった。
「僕達の残りもの、酷い時にはゴミを食べさせてるね」
「私は子供の頃三人のそうしたものばかり食べさせられたのよ」
「だから今そうしてるんだ」
「仕返しでね」
「それじゃあこれもかな」
今度は動画だった、見れば。
春奈は夏樹を思いきり蹴飛ばし倒れた彼女を背中から何度も踏み付け起き上がろうとするところを腰を蹴ってだった。
そこから髪の毛を引っ張って引き摺り回していた、その時の彼女の顔は。
「憎しみに満ちてるね」
「・・・・・・・・・」
「僕達は君のこうした顔をいつも見てるんだ」
「もう見たくないの」
娘は泣きそうな顔で言った。
「こんなお母さんは」
「だからなの」
「お願いだからもう叔母さんいじめないで」
母に頼み込んだ。
「私お母さんの言うこと何でも聞くから」
「僕からも頼むい、夏樹さんに何かとされてきたけれど」
過去そうだったがというのだ。
「水に流せなくてもね」
「暴力は振るうなっていうのね」
「誰に対してもこんなことしたらいけないよ」
絶対にというのだ。
「だからね」
「それでなの」
「もう止めてくれるかな」
彼も頼み込んだ。
「さもないと一緒に暮らすことも」
「離婚?」
「それも考えるから」
「私二人も大事だし」
春奈はここでだった。
丁度部屋の中にいたコチとポコを見た、見れば三人を心配そうに見ている。
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