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レーヴァティン

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第二百三十一話 平泉からその六

「無理があるな」
「確かに」
「樵は湖では暮らせません」
「百姓は町人にもなれますが」
「あまりにも違いますと」
「それは出来ません」
「だからだ」
 そうしたものだからだというのだ。
「俺はな」
「その様にしますね」
「山の民は山の民のままですね」
「その暮らしを脅かさず」
「そのままでいてもらいますね」
「そうする、ただあの者達が街や村に入りだ」
 そうしてというのだ。
「そこで暮らすことはな」
「邪魔しませんね」
「それについては」
「自由にさせますね」
「それはいい、元々百姓や町人が何かの理由で山に逃れ」 
 そうしてというのだ。
「なったという話もあるな」
「そうした話もありますな」
「学者達が言うには」
「実のところはわかりませぬが」
「そうも言われていますな」
「街や村の者がそうなってもいいしだ」
 それにというのだ。
「山の民達が街や村に入りな」
「田畑を耕したり職人になってもいい」
「商売をしてもですね」
「そうしてもいいですな」
「幸い言葉も文字も通じるしな」
 このこともあってというのだ。
「それはいい」
「そうですか、では」
「奥羽の山の民達もそうして治めていき」
「民に入れますね」
「そうする」
 こう言うのだった。
「いいな。間違っても無闇に刃は向けるな」
「我等の民であるので」
「そうなるので、ですな」
「無闇に刃を向けてはなりませんね」
「何があろうとも」
「敵の民であっても幕府の民となるのだ」
 戦に勝てばというのだ。
「それならな」
「刃を向けてはなりませんな」
「民に対して」
「刃は賊や魔物、敵に向けるもの」
「民ではありませぬな」
「暴れるなら別だが」
 それでもというのだ。
「そうでもないとな」
「傷付けず」
「相当でないと刃も向けない」
「そして己の民とする」
「そうして治めますね」
「そうしていく、あの者達も知恵もな」
 これもというのだ。
「手に入れたいしな」
「山に関するそれも」
「それぞれの山のそれも」
「そうされたいですか」
「上様としては」
「是非な、俺は山も領土にする」
 幕府のそれにというのだ。
「だからだ」
「そうされて」
「山のことを知り」
「民のこともですね」
「治めていく、だから山の民達にも無体はするな」
 乱暴狼藉はというのだ。 
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