まんざらでもない

　　　　　　　　　　　　　まんざらでもない
　とあるアイドルグループに所属している二宮聡美は長い黒髪をポニーテールにしている。背は一六〇程でメリハリのきいた若々しさが出たスタイルとはっきりした明るい顔立ちである。
　性格はさばさばしていて人懐っこく裏表がない、その為ファンからだけでなくグループ内でも事務所でも人気がある。
「いい娘だね」
「明るくて人懐っこくて」
「ああした娘がいるとね」
「本当に違うわね」
「そうだね」
　こう話してだった。
　聡美を応援し好きになっていた、だが。
　その中でグループの一員でグループに参加したばかりの梶谷麻友がこんなことを言った。黒髪を額を隠して伸ばし楚々とした顔立ちで一五四程の背で胸はあまりないが背中から足にかけてのラインが人気だ。
　その彼女がだ、インタヴューでこんなことを言ったのだ。
「先輩の二宮さんが大好きなんです」
「大好きですか」
「そうなんです」
　こう言うのだった。
「結婚したい位に」
「結婚ですか」
「女の子同士ですが」　
　それはわかっているがというのだ。
「ですが」
「それでもですか」
「ずっと一緒にいたいです」
「結婚して」
「そこまで想っています、大好きです」　
　インタヴューで言った、するとだった。
　すぐにだ、ファン達の間で話題になった。
「麻友っち聡美ちゃん好きか」
「それも大好きらしいな」
「何か絵柄的にいいな」
「だよな、グループでも人気のある二人だしな」
「それじゃあな」
「二人がいつも一緒だとな」
「本当に絵になるな」
　こう言うのだった。
「それで水着とか下着になったら」
「ああ、二人一緒でグラビア撮影してな」
「そうなったらな」
「尚更いいな」
「百合百合しくてな」
「余計にそそられるな」
　彼等は口々に話した、そしてこの話は聡美の耳にも入り。
　マネージャーにだ、笑って話した。
「いいんじゃないですか？」
「麻友ちゃんと一緒でもだね」
「はい、同じ事務所でもありますし」
　中年男性のマネージャーに笑って話した。
「グループも一緒で」
「先輩後輩でだね」
「はい、ですから」
「一緒でもいいんだ」
「グループでもデュオの話があれば」　　
　その時はというのだ。
「是非です」
「受けるんだね」
「そうさせて下さい」
「それはお仕事だからかな」　
　マネージャーは聡美に問うた、今二人は事務所にいてそこで仕事の話をしているがその中でのやり取りだ。
「それでかな」
「まあそうなりますね」
「そうなりますなんだ」
「はい、じゃあそれで」
「そうした話が来たら」
「お願いします」
「ファンの人達の中には」
　マネージャーは聡美にあえてと決意してこの話をした。