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レーヴァティン

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第二百二十九話 姿を隠しその三

「銭も材もな」
「そうしていますね」
「まずは街を再建しましたし」
「そして櫓や門も」
「壁も」
「天守もな」
 これもというのだ。
「そうしていくぞ」
「ですね、全て戻し」
「そして奥羽の政の柱としてです」
「以後使いましょう」
「これからは」
「その為の再建だ、そしてだが」
 英雄はまた天守閣の方を見て言った。
「お前達は最近働き過ぎだ」
「いえ、別にです」
「そうではないですが」
「この通り元気です」
「しかと寝ています」
「働き過ぎではありません」
「いや、休日がない」
 答える周りにだ、英雄は強い声で答えた。
「俺がここに留まると言ってからずっと休みの日はないな」
「そう言われますと」
「確かに」
「その通りです」
「寝てはいますが」
「完全に休みの日はありません」
「週に一日か二日は休め」
 絶対にという言葉だった。
「これからはな」
「そうしていいですか」
「それだけ休んでも」
「そうした日があっても」
「人は常に動けない」 
 このことを言うのだった。
「やはり休みも必要だ、だから交代でだ」
「週に一日か二日は休み」
「そして英気を養う」
「そうすべきですか」
「軍勢を進ませても完全に休む日がある」
 実際にそうした日ももうけている、英雄はそうした日をもうけてそのうえで兵達を休ませ英気を養わせているのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「我等も休む日をもうけ」
「そして働いていく」
「そうしますか」
「半日働いているのだ」
 それならばというのだ。
「かえって働き過ぎだ、いいな」
「わかりました、それでは」
「その様にさせて頂きます」
「我等も休みます」
「交代で」
「その様にな、俺も休む」
 言う英雄自身もというのだ。
「そうするからな」
「わかりました、上様がそうされるなら」
「我等もそうします」
「そして働いていきます」
「戦の間も」
「そうすることだ」
 こう言って実際にだった。
 英雄は自ら休む日をもうけ完全に休んだ、そしてその日くつろぎながら周りにいる近侍の者達に話した。
「一番上が休まずにだ」
「下の者は休めない」
「そうなのですね」
「だから上様はですね」
「こうして休む、誰もが無理をして働くとな」
 そうした状況ではというのだ。 
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