レーヴァティン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二百二十八話 建て直しその一
第二百二十八話 建て直し
会津若松城も残るは本丸だけとなっていた、英雄はその本丸を大軍で囲んだうえで全軍に対して告げた。
「まずは砲撃と爆撃を行う」
「そうしてですね」
「本丸を壊し」
「そこにいる兵も倒す」
「そうしますね」
「そうだ、容赦するな」
一切というのだ。
「その必要はない、そしてだ」
「それが終わってからですね」
「本丸に突入し」
「そうしてですね」
「そのうえで、ですね」
「完全に攻め落とす」
そうするというのだ。
「いいな」
「わかりました」
「それではです」
「これよりです」
「攻めましょう」
「そうしましょう」
「その意気だ、では攻めるぞ」
こう言ってだった。
英雄は砲撃と爆撃を行わせた、大筒が一斉に火を噴き空から爆弾が落とされた。そうして城の本丸は瞬く間にだった。
爆発が起こり壊され紅蓮の炎に包まれた、その中で。
城の者達の呻き声や断末魔の声が聞こえた、勇壮な天守閣もだった。
炎に包まれんとしている、ここで英雄は言った。
「ここでだ」
「はい、降る様にでござるな」
智が応えた。
「その様にでござるな」
「勧める、もうだ」
「戦は決まったでござる」
「そうなった」
まさにというのだ。
「だからな」
「ここで、でござるな」
「そのことを告げてな」
そうしてというのだ。
「そのうえでだ」
「戦を終わらせるでござるな」
「そうする」
「この城での戦は」
「そうする、ではな」
「ここで降ればよしで」
「降らないならな」
その時はというのだ。
「あらためてな」
「攻めるでござるな」
「その用意は整えている、ではな」
「これより」
「使者を送る」
燃え盛る本丸を見つつ話した、そして実際に使者を送ったが敵は降らなかった。それで英雄はあらためてだった。
火が鎮まったところで突撃を命じた、自らもそうし。
本丸に突入した、するとだった。
もう敵は殆ど焼け死んでいた、それは城主であった領主も同じで程なく彼等は復活させられた。そして。
英雄は復活させた彼等を自分の前に呼び問うた。
「もうこれではっきりしたな」
「敗れました」
領主は英雄の前で家臣達と共に両膝を付き深々と頭を下げて述べた。
「我等は」
「そうだな、ではそなたはだ」
「覚悟はしております」
「俺の裁きを受けるな」
「謹んで」
「わかった、ではそなたは幕臣となれ」
英雄は領主に告げた。
「暫し蟄居とするが」
「そうしていいのですか」
「俺は敵でも降った者は迎える」
こう言うのだった。
ページ上へ戻る