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レーヴァティン

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第二百二十四話 大雪はその十五

 それでだ、孔明も思う存分励めたのだ。
「丞相として頑張れたぜよ」
「そうだったな」
「間違っても嫉妬してぜよ」 
 孔明の才能や人格にそうした感情を抱いてだ。
「殺したりしなかったぜよ」
「むしろ何か言った者を処罰した」
「それ程だったぜよ」 
 孔明の死後に彼の悪口を言った者をそうしたというのだ。
「それで過度な贅沢もせず」
「残虐なこともしなかった」
 酒好きの女好きでもだ。
「ならな」
「本当に凡君の方がましぜよ」
「名君が最善にしてもな」
「凡君は暴君よりましぜよ」
「そして暗君でもな」
「嫉妬したりしないならのう」
 それならというのだ。
「本当にましぜよ」
「そうだったな」
「まっことそうぜよ」
 こう話した。
「劉禅さんは凡君暗君でもぜよ」
「遥かにましだ」
「むしろあの人は反面教師にはぜよ」 
 そこまでするにはというのだ。
「なりにくいぜよ」
「あれ位だとな」
「おまんもそう思うのう」
「あの時代より後の晋の方が酷い」
 三国時代の後の新たな戦乱の時代のはじまりとなった頃だ。
「八王の乱といいな」
「まっことのう」
「俺は劉禅はよくも悪くも意識していないが」
 そこまで考える程の人物ではないというのだ、平時ならそれなりの皇帝であっただろうしと思ってだ。
「しかし後の晋や五胡十六国や南北朝になると」
「意識するのう」
「鑑としてな」
 悪いそれとしてというのだ。
「そうなっている」
「そうじゃな、ほなそうした皇帝達も頭の中に起きながら」
「そしてな」
「ことを進めていくぜよ」
「そうだな、愚君や暴君にはならない」
 決してとだ、こう言ってだった。
 英雄は今は政を進めていった、そうしてだった。
 奥羽攻めの用意もそうしていった、そちらのことは膨大な書の仕事の中で着々と進めていっていた。


第二百二十四話   完


                2021・9・1 
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