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レーヴァティン

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第二百二十四話 大雪はその十三

「しかしな」
「そうであっても」
「公平に見るべきだ」
 その者はどういった者かということをというのだ。
「さもないとだ」
「反面教師にしても」
「確かでなくなる」
「鏡は確かに見るものですね」
「斜めに見て正しい姿が見えるか」
 その様な見方でというのだ。
「果たして」
「それは無理なことです」
 良太も言ってきた。
「やはり鏡はです」
「正しく見てこそな」
「鏡足り得ます、ですから」
「悪い意味での鑑もな」
 そうした者もというのだ。
「正しく見てです」
「鑑にだな」
「なります、例えば劉禅を反面教師にするなら」
「劉禅を正しく理解しないとだな」
「出来ません」
 良太はこう述べた。
「そうしないと」
「そうだな」
「尚その劉禅ですが」
 三国志では暗愚と言われる彼だがというのだ。
「凡庸ではあっても」
「どうしようもなくはないな」
「国力が最も劣る国を四十年保たせました」
 三国、魏呉蜀の中でだ。
「蜀を」
「その事実があるな」
「はい、しかもです」
 ただ保たせただけでなくというのだ。
「孔明等有能な家臣がいれば」
「任せていたな」
「逆に佞臣の言葉を聞きもしましたが」
 それでもというのだ。
「優れた者を心から信頼して任せる」
「余計な口出しもせずにな」
「そして残虐さはなく節度もあり」
「酒と女が好きでもな」
「常識の中であり」
 その範囲内でというのだ。
「民を苦しめることもです」
「しなかったな」
「そうした人物でした」
「そこまでいくと凡庸でもな」 
 それでもとだ。英雄は劉禅について述べた、三国志特に演義では不人気極まる人物で評価も低いがだ。
「自分をわかっている様だしな」
「凡庸であると」
「それならだ」 
 自分がわかっていればというのだ。
「かなり上だ」
「凡庸の中でも」
「乱世には不向きな様だが」
「しかしそれでもです」
「残虐でもなく民も苦しめず」
「贅沢も常識の範囲内で」
 そしてというのだ。
「人を信頼して任せるなら」
「いいと言える」
「左様ですね」
「暗愚と言われて事実凡庸でもな」  
 それでもとだ、英雄は語った。 
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