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ドリトル先生と幸せになる犬

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第十二幕その十

 焼き肉をまた食べてビールを飲んでから言いました。
「暮らしていこうね」
「そうだよね」
「浅ましい心を持たない様に注意して」
「そしてね」
「愛情も持っておくことだね」
「そうだよ、それでね」
 そのうえでというのです。
「幸せに暮らしていこうね」
「愛情があれば幸せになる」
「そう言うしね」
「それじゃあね」
「楽しく過ごしていこうね」
「これからもね」
「そうしていこうね」
 笑顔で応えた先生でした、そして皆と一緒にです。
 焼き肉を食べてビールを飲んで楽しく過ごしました、そうしたうえでこの夜も楽しく過ごしました。そうしてでした。
 この日から暫く経ってサラがまたご主人のお仕事で日本に来ました。それでいつも通り先生のお家にもお邪魔しましたが。
 サラは先生からふわりのお話を聞いてこう言いました。
「何処でもそうした人はいるわね」
「そうだね」
「命を何とも思わない人達が」
「この前遂に親権を放棄させられたよ」
「育児放棄だったから」
「うん、赤ちゃんは大変な状況だったらしいよ」
 その子はというのです。
「ずっとお風呂に入れてもらってなくてミルクもね」
「あげられてなかったの」
「あまりね、おむつもあまり替えてなくて拭いてもいなくてずっとベッドに置かれたままだったそうだよ」
「酷いお話ね」
「ふわりにしたことをね」
「そのまま自分達の子供にしたのね」
「そうだよ、それでね」
 そのうえでというのです。
「そのことが明らかになって」
「それでよね」
「もうね」
 それこそというのです。
「ふわりの前の飼い主の人達は破滅したよ」
「禁治産者にもなって」
「完全にね。禁治産者だから働けなくて」 
 それも出来なくなってというのです。
「後は廃人としてね」
「生きるだけだね」
「そうだよ、まあ早速酒浸りになってるそうだから」
「あら、もうなの」
「親権も仕事もなくなってね」 
 禁治産者になってです。
「それでね」
「他にすることがなくて」
「それで自分達が社会人として完全に駄目になって自棄になってね」
 それでというのです。
「もうね」
「酒浸りになってるのね」
「夫婦共にね、ずっと飲んでるそうだから」 
 そのお酒をです。
「もうね」
「長くないのね」
「そうだよ、お酒は溺れるとね」 
「毒になるわ」
「そう、だからね」
「その人達は長くないのね」
「そうだと思うよ、心が餓鬼になってね」
 サラにもこうお話しました。
「そしてもうすぐね」
「仏教の餓鬼道に行くのね」
「そうなるんだ」
「身体もそうなるのね」
「そしてずっと苦しむんだ」
「私仏教には詳しくないけれど」
 それでもとです、サラは先生に答えました。
「地獄に落ちる様なものね」
「簡単に言うとね」
「そうなのね」
「地獄より辛いかもね」
 サラにも餓鬼道についてこうお話しました。
「若しかしたら」
「そうみたいね」
「うん、そしてね」
「ずっと苦しんでいくのね」
「餓えと渇きにね」
「それは辛いわね、けれど」
 それでもとです、サラは思いました。 
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