僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ 完結
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4-⑺
次の週から、お昼時間だけの\700の日替わり定食を始めた。勿論、のぼりも立てた。晋さんが工夫してくれて、ワンプレートにして、ボリュームもあって、客数も増え始めたけど、客の回転も何とかうまくいっていた。
だけど、混む時間に何人かが表で待っていてくれて、雨の日にはやっぱり、苦労していた。予約の持ち帰り弁当も、あのバイクの工務店をやってると言って居た堤さんが最初の注文をくれてから、週に4,5件が10ケ程度ずつ出るようになっていた。お肉が主体だったので、内容の割に\600で安いと好評だった。
そいて、私は、思い立って、待合スペースを、堤さんに相談してみたら、二つ返事で「おお 任せとけ」って言ってくれたのだ。次の日、下見に来られて、3日後に工事に入った。私と、打ち合わせして、10mの駅のプラットフォームのようなものだったが、普段の風向きも考えて、壁と窓を着けて、その日のうちに仕上げてくれた。おまけに、駐車スペースが狭くなったので、ジャリを敷いていたのだが、ロープで区切りをして効率良く停められるようにもしてくれた。
工事の請求書を持って、堤さんがやってきて、渡しながら
「支払いは、1年以内なら、待つから、いつでも良いよ 開店間際で、資金繰りも大変なんだろう 俺も、この店続いてくれなきゃあ困るんだ うまいもの食べれなくなるからな」
「堤さん 何と言っていいか ありがとうございます 正直、助かります 私 雨の日でも、表で待っていただいている方、申し訳なくて、気になって」と、私は、涙出そうだった。
「いいんだよ 俺は、あんたのそういうところが好きだよ シャルダンなんかに負けるなよ」と、言ってバイクで帰って行った。
「店長 あの人カッコいいー あのおにぎり効いたんですね」と、舞依ちゃんが
「そんな 単純にうまくいく訳ないじゃぁ無い お料理がおいしいからよ」と、私は晋さんに向かってVサインを送った。
その夜、アパートに帰って、私がお風呂から上がって、お父さんとビールを飲んでいると
「美鈴 友達にまで、手伝ってもらって、すまないな そういえば 小さい頃、よく遊んでいた清音ちやんはどうしている?」と、突然のことだった。
「清音って お父さん 何か思いだしたの?」と、私、驚いていた。
「うん 最近 ふっと 清音ちゃんって、美鈴と仲良しだったなって、浮かんできてな」
「あー そうなの もう、長いこと会ってないの」と、返事したが、複雑だった。もう、お父さんに、あの時のことを知られるのも怖かったし、清音はあなたのもうひとりの娘よとも言いたかった。
私は、お父さんが、昔のことをどこまで、思いだしているのかを、確かめるのが怖かったのだ。今の生活も、何とかやっていける見通しも立ったし、このままで、良いと思っていた。お母さんと清音のことは、気にはなっていたが・・。清音だって、お父さんと会いたいって思うこともあるのかも知れない。どうしているんだろう・・
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